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登山靴は次の時代へ。定説を覆す異次元の歩行性能スポルティバ「エクイリビウム」 | 山と溪谷オンライン - 株式会社 山と溪谷社

地面の凹凸をダイレクトに感じる
抜群の足裏感覚

テスト当日は、濃い霧があたりを覆い、強風が絶え間なく吹き続けるあいにくの天候。残念だが現場の状況から宝剣岳のピークハントは危険と判断し、来た道を戻ることにした。

期待外れの悪天候で撤退を余儀なくされ、登ってきた岩場を慎重に下る
期待外れの悪天候で撤退を余儀なくされ、登ってきた岩場を慎重に下る

冒頭でも書いたように、登山における歩き方は、登りも下りもフラットフッティングが基本だ。ただ、このフラットフッティングは、登りでは難しくないが、下りになると途端に怖さを感じるのは筆者だけだろうか。特にアルパインブーツのようなソールの硬い登山靴は、足裏感覚に物足りなさを感じるものが多く、ソールのグリップ力を信頼できるようになるまで慣れが必要だと感じていた。

ただ、その考えは、エクイリビウムによってみごとに覆されることになる。今回のテストで最も魅力的に映ったのは、歩きやすさや足首回りの柔軟性とも違う、間違いなくこの足裏感覚といえる。

下山途中、優れた足裏感覚をひしひしと感じた。ソールが吸い付くように踏ん張りが効く
下山途中、優れた足裏感覚をひしひしと感じた。ソールが吸い付くように踏ん張りが効く

不思議なことに、ソールは力を込めても前足部がわずかに屈曲する程度の硬さなのに、足裏には着地したトレイルの起伏がダイレクトに伝わるのだ。それは岩場でも砂場でも同じことが言えて、地面の凹凸をじかに感じるため、特に下りでは非常に足を踏ん張りやすかった。

  • 階段の木製の縁や石の表面に足を置いたときも、じかに凹凸を実感できた
    階段の木製の縁や石の表面に足を置いたときも、じかに凹凸を実感できた
  • 岩肌のわずかな起伏もダイレクトに伝わり、大地を踏みしめながら行動できる
    岩肌のわずかな起伏もダイレクトに伝わり、大地を踏みしめながら行動できる

かといって、地面からの突き上げによるダメージが足裏に蓄積される様子は感じられず、疲れにくいのに足裏感覚は優れているという、かなり不思議な感覚があった。

この秘密は、「スプリングラグテック」というソール構造にあるのだろう。

スプリングラグテックの構造。右がミッドソールを流し込む前のアウトソール
スプリングラグテックの構造。右がミッドソールを流し込む前のアウトソール

エクイリビウムのソールパッケージは、アウトソールの一つひとつのラグまでミッドソールを流し込む特殊な構造で作られている。地面の凹凸は、個々のラグからミッドソールを介して、最終的に足裏へと伝達される。インナーソールに擬似的な地面の凹凸が現われて、その疑似的な凹凸を足裏で感じるようなイメージだ。

ラグを親指で押してみると、柔らかいゴムのように沈み込み、弾力性を感じられた
ラグを親指で押してみると、柔らかいゴムのように沈み込み、弾力性を感じられた

さらに、一つひとつのラグは地面の凹凸を感知するセンサーになっているともいえそうだ。ラグのひとつを親指で押してみると、割と簡単にグニッと沈み込んだ。この弾力性こそ、着地時の地面からの突き上げを和らげつつトレイルの凹凸を足裏へ伝える秘密である。

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