2020年7月28日、日本学術振興会は「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別研究員の採用期間の取扱い」に関する通知をHPに公開。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、研究に支障をきたしている学生が多いことから、特例で学振特別研究員(DC1、DC2)の採用期間の延長希望に柔軟に対応することを発表した。
日本学術振興会 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特別研究員の採用期間の取扱いについて(通知)
これによって、採用期間の延長・資格継続、特別研究員奨励費の延長が可能となり、学振最終年度でも研究費が繰り越せるようになった。
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きっかけは一人の博士課程学生のツイート
今回、こうした措置が決まった大きなきっかけとなったのが、一人の博士課程学生によるツイートだ。
『学振持ちの方で「コロナの影響で今年十分な研究ができず研究計画が延びてしまいそうだが、来年研究費が切れるのでどうにかしたい」という、私と同じような境遇の方いませんか...?』
研究費の繰り越しについては、3月時点で筆者が代表理事を務める日本若者協議会で与党に提言しており、公明党から文部科学省に申し入れをしてもらっていたが、上記ツイートを見て、改めて議員に共有。
その後、すぐさま、公明党の浮島とも子衆議院議員(党文部科学部会長)、三浦信祐参議院議員(党青年局長)、また公明党や文部科学省の職員にご尽力頂き、要望通り実現へと至った。
筆者が学生のツイートを見て議員に連絡してから、3週間で実現というスピーディーな対応に改めて感謝したい。
追加の予算措置も必要
一方で、特別研究員としての採用期間が延長されても、生活費に相当する研究奨励費が追加で支給される訳ではない。
延長在学期間中の奨励費を追加支給するためには追加で予算措置が必要であり、日本学術振興会の通知でも、「なお、令和3年度予算において財務状況が許せば採用延長期間の研究奨励金についても、別途追加支給を検討します。」と記載されている。
令和3年度の概算要求期限は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、通年より1カ月遅い、9月30日となっているが、こちらに計上されることを期待したい。
また、筆者が連載している月刊『連合』でも、8月25日に発行予定の2020年8月・9月号で博士課程学生の窮状について寄稿しているが、研究奨励費の額面の低さや奨学金メニューの乏しさ、雇用関係のない不安定な状態については以前から度々指摘されており、こちらの改善に関しても引き続き働きかけていきたい。
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