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高温で柔らかくした靴底のゴム、100トンでしっかりプレス…年間240万足を生産 - 読売新聞オンライン

 歴史を感じさせるいくつもの機械の前で、従業員が靴の縫製や組み立てを手際よくこなしていた。1892年創業の老舗靴メーカー、アサヒシューズ(福岡県久留米市)の久留米工場を、坂寺敏明工場長(52)に案内してもらった。

 約90年前の昭和初期に建てられた同工場では、主力商品の健康靴「快歩主義」などを生産している。最初の工程は、足の甲の部分を覆う布のパーツ「アッパー」の製造だ。布を靴型に合わせ、機械で圧力をかけて裁断していく。効率を上げるため、布は複数枚を重ねていた。

 次は、靴底に使うゴム部品だ。天然ゴムと合成ゴムに薬剤を加えて機械で混ぜ合わせ、2台の巨大なローラーでシート状に延ばしていく。この工程で、ゴムに硫黄を加える。「硫黄を加えたゴムに熱を加えると化学反応が起き、弾力性と強度が生み出される」(坂寺工場長)ためだ。

 加工されたゴムを金型に載せ、高温で軟らかくしながら約100トンの圧力をかけると、靴底ができあがった。続いて、手作業でアッパーなどを足型に巻き、別の機械で力を加え、靴底をしっかり接着させた。

 ほぼ完成形となった靴は、1足ずつ工場内のゴンドラで「圧力釜」まで運ばれる。最終工程となる圧力釜では、靴に100度以上の熱と圧力を1時間超にわたって加える。踏んでも変形しない丈夫な靴にするための重要な作業という。釜から熱気とともに出てきた靴は、検品を経て次々と箱詰めされた。

 2000年に発売された「快歩主義」は、つま先をわずかに浮かすなどつまずきにくい設計を採用していることからシニア世代を中心にヒットし、今年3月には累計1100万足を突破した。

 久留米工場では快歩主義以外も含め年間240万足の靴を生産している。坂寺工場長は「久留米から靴を通じて全国一人ひとりの足元を支えていきたい」と力を込める。

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