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世界一の靴磨き|文藝春秋digital - 文藝春秋digital

コロナで自宅時間が増えたことをきっかけに靴磨きの愉しさに開眼した人が増えている。靴を美しく輝かせる行為は、もはや身嗜みを越え、人生を豊かにする良き趣味なのだ。革靴は必ず応えてくれる。/文=吉田巌、写真=佐藤亘

道を究める愉しさがあります

靴好きから厚く支持される靴磨きの専門店「ブリフトアッシュ」。シューシャイナー世界大会での優勝経験も持つ代表の長谷川裕也さんは、仕事のできるエグゼクティブほど、きちんと磨かれた靴を履いていると語る。

「印象をマネジメントするうえで靴磨きの重要性にどこかで気づかれたのでしょう。疲れた足元に由来する『足元を見る』という言葉があるように、足元がビジネスシーンを左右することもある。実際、靴に気を遣うようになったことで、社会的ステージがどんどんアップされたお客さまが多数いらっしゃいます」

長谷川さんのお店はバーのような趣で、カウンターに座ると世界一の技を間近に見られる。質問すれば磨きのコツも丁寧に教えてくれる。

「近頃はスニーカーがトレンドですが、革靴は手入れをすれば見違えるように輝くし、何十年も愛用できる。その醍醐味を知って、最近は趣味としてはまる人が多いんです。一心に靴を磨くことで心を整える効果もあります。人は何故美しい靴に惹かれるのかなど哲学的な思索に耽ることも楽しい。将来的には茶道のような“道”にまで高められたらとも考えています。それだけ靴磨きは奥が深く、自分磨きにも通じると確信しています」

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長谷川裕也
路上の靴磨きから出発し、2008年東京・青山で「ブリフトアッシュ」創業。高度な技術で靴好きを魅了する

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