最後にわが子を抱き締めて見送りたい―。流産や死産で赤ちゃんを亡くした親のそんな思いをかなえようと、自身も子を亡くした千葉県の女性らがアイデアを出し合い、赤ちゃん用の小さなひつぎを手づくりしている。皮膚が薄く直接触れられない赤ちゃんでもひつぎごと抱えやすいよう、丸みを帯びたデザインに。女性たちは「最後のかけがえのない時間を大切に過ごして」と願いを込める。(太田理英子)
ひつぎは水に溶かした和紙を成形し、淡いピンク色などに染めて作られている。肌触りが良く、ふたを重ねるとまゆのような形になる。S(長さ17センチ)、M(同24センチ)、L(同35センチ)の3サイズを用意。産着や帽子、布団などもセットになっている。
発案者は、子どもを亡くした人向けにガラス製仏具を手掛けてきた住吉育代さん(43)=同県船橋市。自身も13年前に生後8カ月の娘を亡くした。「赤ちゃん用のひつぎの多くは子ども向けのデザインではない。妊娠週数が少ないと、医療用の箱に入れられることもあると聞く」と言う。仏具作りで出会った親たちの思いにも触れ、赤ちゃん用ひつぎ作りを模索してきた。
今春、知人でジュエリー・ガラス工芸作家の大川七恵さん(51)=同県浦安市=に相談。2人の息子がいる大川さんは「親は亡くなった子を抱きたかっただろうし、子も抱かれたかったはず」と考え、学生時代に紙や木材を研究した経験から、和紙を使ったまゆの形のひつぎを思いついた。
セットの産着などは、死産を経験した札幌市の女性がデザインしたという。
住吉さんは「(喪失の悲しみに寄り添う)グリーフケアにもつながれば」と期待する。大川さんも「赤ちゃんが愛に包まれて子宮からこのまゆに移り、天国に行き、いつかまた戻ってきてほしい」と願っている。
「まゆのゆりかご」と名付けたひつぎは、住吉さんの仏具店「Bee―S(ビース)」のオンラインストアで、サイズに応じ、3万円程度から販売している。
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「最後のかけがえのない時間を大切に」 赤ちゃん用ひつぎを作った女性たちの思い - 東京新聞
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