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短時間労働者の賃金統計 厚労省が調査法の変更申請せず 大学教授や医師らの追加で時給が急上昇 - 東京新聞

 厚生労働省が賃金統計で短時間労働者の賃金を集計する際、2020年分から時給が高い大学教授や医師らを加えたのに、統計法で義務付けられた総務相への変更申請をしていなかったことが分かった。高給の職種を加えたことで平均の時給は前年比23%上昇。総務相が専門家の意見を聴くため諮問する統計委員会の審議も経ておらず、変更の手続きや意図の説明責任が問われる。 (渥美龍太)

 この統計は「賃金構造基本統計調査」と呼ばれ、重要度が高い国の基幹統計。厚労省は調査や集計の方法を20年分から大幅に変更することを決め、先月末に結果を初公表していた。集計対象の約3割を占める短時間労働者は、主にパートなどの非正規労働者で、一部に正社員も含む。

 これまでは時給3000円超の医師や塾講師らを除く平均時給を算出。今回から厚労省は、短時間労働者の多様な働き方を反映するには全体像の把握が必要だとし、全てを含む「全体集計」に変更した。その結果、前年の1148円が1414円へと23%上昇。しかし、従来の算出方法による平均時給は公表していないため、変更でどれだけ伸びたかは分からない。

 厚労省は19年の時給を20年と同じ全体集計で特別に推計すると、1304円になると説明。同条件で比べれば伸び率は8・4%増にとどまる。過去十数年分は全体集計での推計を参考値としてネット上に載せ、統計の連続性を保つ方針だが、過去の正式な公表値は訂正しないという。

 統計法は、基幹統計の変更には「総務大臣の承認を受けなければならない」と明記している。総務省の統計法担当者は「細かい変更点も全て申請し、統計委員会の審議を受ける」と手続きを説明する。厚労省によると、20年分の公表資料に列挙した変更点のうち短時間労働者の集計方法は申請していなかった。

 厚労省の担当者は「集計の要件について申請が必要という認識はなかった」と説明。しかし、当時統計委員長だった西村清彦政策研究大学院大特別教授は「申請して統計委員会に諮問されるべきだった」と指摘し「従来の算出方法の数値も出して比較可能にすべきだ」と情報開示を促した。

 賃金の基幹統計を巡っては、厚労省が18年に毎月勤労統計調査の調査方法を変更し、賃金伸び率が急上昇。この時も厚労省は主要な変更内容を統計委の審議を経ずに決めていた。専門家から「統計の連続性が失われた」と批判され、野党から「アベノミクス(安倍政権の経済政策)の成果を示すための賃金偽装」だと追及されている。

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