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英首相「われわれには時間がない」…COP26、先進国の支援増が焦点 - 読売新聞

 【グラスゴー(英北部)=照沼亮介、池田晋一】国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、先進国による途上国への金融支援のあり方も焦点の一つとなる。岸田首相が2日、アジアなどの脱炭素化に最大100億ドル(約1兆1400億円)の追加支援を表明した。他の先進国の首脳も支援強化を相次いで表明したが、効果を高めるためには透明性の確保や、民間資金をどう呼び込むかも課題となりそうだ。

 「われわれには時間がない」。議長国・英国のジョンソン首相はCOP26の開幕に合わせ、2025年までの途上国への資金援助を10億ポンド増やし、126億ポンド(約2兆円)とすることを表明した。

 バイデン米大統領も24年までに途上国への金融支援を4倍に増額する意向を改めて示し、メルケル独首相は60億ユーロ(約8000億円)に増やすと掲げた。

 先進国は09年、途上国に対して毎年1000億ドル(約11兆円)の資金援助を行うことで合意した。だが、経済協力開発機構(OECD)の推計では、19年の途上国向け支援額は約800億ドル(約9兆円)にとどまる。20年も未達とみられ、達成は少なくとも23年以降に持ち越される可能性が高い。

 日本の支援額は、岸田首相の追加支援表明により21~25年に官民で約700億ドル(約8兆円)となる。16~20年には官民で年約1兆3000億円の支援を実施しており、外務省によると先進国の中でも最大規模という。再生可能エネルギーをインドネシアやヨルダンに導入する事業などに活用された。一方、パリ協定から離脱したトランプ米前政権が資金支援を絞ったことなどを理由に、全体の支援額は伸び悩んだ。

 気候変動を抑えるためには、世界の二酸化炭素(CO2)排出量の3割近くを占める中国や、インド、途上国の排出量を減らす必要がある。

 途上国側には、これまでCO2を排出しながら経済成長を果たしてきた先進国に対する不満は根強い。排出量の削減には、新技術の導入や産業構造の転換が不可欠で大きなコストがかかるため、先進国側に大規模な支援を要求する根拠となっている。

 中国の 習近平シージンピン 国家主席は、首脳級会合に提出した書面で「先進国は、発展途上国のために更なる支援を提供すべきだ」と主張した。アフリカ東部ケニアのケニヤッタ大統領は、「(途上国向けの資金拠出である)気候資金が飛躍的に増えるのを見たい」と述べ、さらなる積み増しを要望した。

 ただ、過去に先進国が貧困解消のために行った開発援助は、途上国の政府の腐敗などにより、解決につながらなかったとの指摘が多い。脱炭素の支援では同じ てつ を踏まないようにする必要がある。野村証券の岡崎康平エコノミストは「資金援助を拡大するなら、透明性の確保と実効性の担保をしっかり入れることが必要だ」と指摘する。

 COP26のアロック・シャーマ議長は「世界経済の変革を支援するため、民間企業が果たすべき真の役割がある」と述べ、民間資金の活用に期待を寄せた。

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