リストには航空機を製造する三菱重工業などインフラを担う企業が並んだ(県営名古屋空港に着陸するスペースジェット)
財務省は8日、改正外為法の施行に合わせ、海外投資家からの出資について事前審査の対象となる企業のリストを公表した。重点審査の対象となる「コア業種」は全上場企業の14%にあたる518社だった。原子力や武器製造など重要技術を持つ企業について、安全保障上問題のある外資からの買収に制限をかける狙いがある。事前審査は6月7日から適用となる。
改正外為法は2019年11月の臨時国会で成立した。指定企業の株式を外資が取得する際に必要な事前届け出基準について、持ち株比率で「10%以上」から「1%以上」に厳格化する。
海外の金融機関は経営に関与しないなどの条件を満たせば事前届け出が免除される。このため財務省は普段から株式を売買している投資家への影響はほぼないとしている。政府系ファンド(SWF)などの投資家はコア業種について原則として事前届け出が必要だ。
コア業種は武器や航空機、宇宙、原子力、サイバーセキュリティー、電力、ガスなど12分野。リストには戦闘機を製造する三菱重工業や原子力事業を持つ東芝、東京電力ホールディングスなどインフラを担う企業が並んだ。トヨタ自動車やソフトバンクグループ、ヤマトホールディングスなども対象になった。
財務省は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、感染症に関わるワクチンや医薬品、人工呼吸器などの高度医療機器についてもコア業種に追加する計画だ。このため対象企業は今後、さらに増加する可能性が大きい。
財務省はコア業種ほど厳しい審査を必要としないが事後報告などを求める指定企業も公表した。上場企業の42%にあたる1584社で、日本航空などの航空会社や地方の鉄道会社が含まれる。過去に外為法違反で処分を受けた投資家に対してはこうした企業についても事前届け出を求める。
財務省はリストの対象となった理由について、個別企業の事業内容の秘密を漏らす懸念があるとして開示しない方針だ。リストそのものは今後定期的に見直す予定だが、時期や審査方法についても未定となっている。
UBS証券グローバルマーケット本部長のキース・トゥルーラブ氏は「銘柄の選定方法が不透明だが、リストが公表されたことで予見可能性は高まった」と一定の評価をする。ただ政府の関与が強まることには「日本株全体を敬遠する材料の1つにはなり得る」と懸念を示した。
改正外為法を巡っては、日常的に株式を売買する海外投資家も事務手続きなど負担が増すとの懸念が浮上。財務省はほとんどの投資家が事前審査を免除できるようルールを緩和して対応した経緯がある。
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May 08, 2020 at 05:36PM
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海外からの投資、重点審査518社 財務省が公表 - 日本経済新聞
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