いざ公共交通機関が止まったとき、履いている靴で自宅まで歩いて帰ることができるのか-。東日本大震災の際、公共交通機関がまひした首都圏では多くの人が帰宅困難者となり、家まで歩いて帰った人も少なくなかった。長距離を革靴で歩くと足を痛めやすく、腰や膝にも負担がかかる。「防災は足元から」。災害対策の専門家たちは普段からどんな備えをしているのか。(大渡美咲)
《私はヒールが苦手でそれを履くときは折りたためる靴と踏み抜き防止の中敷きを携帯しています》
警視庁災害対策課の中園晴菜主事(29)は普段から災害時を想定し、靴底が平らな折りたためる靴を持ち歩く。ただ、底が薄く、災害時に割れたガラスなどが周囲に散乱していると足の裏をけがする危険性も。そのため、ステンレスの板などを内蔵し踏み抜き防止加工された靴の中敷きも携行している。
中園さんは「かさばらないので、職場やカバンの中に入れておくと災害時にも困りません」と話す。
慣れたものを置き靴に
《古いスニーカーを捨てるのちょっと待って!》とつぶやいたのは、同課の石坂哲也警部補(45)。普段履いている革靴で長距離を歩くのは足への負担が大きい。そのため履かなくなったスニーカーを災害時の移動用にと職場に〝置き靴〟しているという。
石坂さんは「古いスニーカーを再利用するのは(備える手間が少なくて済み)、ハードルが低い。長距離を歩くには履き慣れた靴が一番です」とすすめる。
かつて石坂さんは災害や事故の現場で高度な救助活動にあたる特殊救助隊に所属。昨年7月に発生した静岡県熱海市の大規模土石流の現場にも派遣された。土砂の中で行方不明者を捜索・救助する際、胸から長靴までが一体化したゴム製の胴長を着用した。ところが、部下の足にはサイズが合わず、靴擦れして傷が化膿(かのう)し、動けなくなるという事態が起きた。
「いくら知識や技術、装備が優れていても『足元が整っていない』と力を発揮できない。防災は足元からだと痛感した」と石坂さんは振り返る。
靴下の臭い対策は…
避難先だけでなく、不意の機会に靴を脱ぐことになったとき、臭いを気にし、臆することもあるだろう。 《避難所は土足厳禁です。しかし、靴を脱ぐと靴下の臭いは気になるところです》と、臭いが落ちる靴下の洗い方をツイッターで発信したのは、同課の粉川俊秀警部補(52)だ。
部活動に励む息子の靴下の臭いがなかなか取れず、洗い方を模索。その結果、靴下を裏返して洗うともっとも臭いが取れて、効果があったという。肌に触れたほうを表にして洗うことでより臭いが落ちやすいといい、靴下以外の肌着などでも有効だという。
粉川さんは「洗うときは裏返し、取り込むときに元に戻す習慣をつけるのがいいかもしれません」。裏返しのまま靴下をはかないよう、注意することもお忘れなく。
これからの季節に気になるのが「冷え」だ。同課の磯部直美副主査(60)は《靴下の上から足にアルミ箔を巻いて、更にその上に別の靴下を重ね履きしてみてください》と投稿。実際に息子と孫と試したところ、全員が暖かさを感じたという。磯部さんは「歩くと取れてしまうので寝るときなどに包むようにして巻いてみると保温効果があります」と話した。
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