足を入れるとぴったりとなじむ。普段は量販店で買ったパンプスで歩き回っている記者には、6.5センチヒールとは思えないほど楽に感じられる。日本人の足に合わせて作られた木型というのが納得の履き心地だ。
エキゾチックレザーの婦人靴を製造販売する新宿屋の丸吉肇社長(写真:菅野勝男、以下同じ)
「女性の繊細な感覚だからこそわかる違いなんです」。独自のオーダーメード婦人靴を製造販売する新宿屋(大阪市)で、採寸からデザイン、修理にも関わる丸吉肇社長はこう笑う。同社の主力商品は、「エキゾチックレザー」と呼ばれるは虫類やダチョウ、エイなどの革で作られているものが多い。1足4万~20万円の高価格帯ではあるが、履き心地・機能性とデザイン性を兼ね備え、さらには熟練の職人の手が保証するアフターサービスも売りとなっており、固定ファンを抱える。
新宿屋の婦人靴。履き心地の良さとデザイン性など、品質の高さが売りだ
エキゾチックレザーの扱いは非常に難しいとされる。例えば、型に合わせて革を靴の形に仕上げていく「つり込み」と呼ばれる工程では、表面の傷跡を見極めるなど細かい確認と修正を重ねなければならない。エキゾチックレザー製品を主力とする新宿屋の技術力は業界内でも目立つ存在で、同業者から「エイの革のつり込みの仕方を教えてほしい」といった依頼もあるという。
前身企業が1974年に誕生した新宿屋は、商品を宝飾店や布団屋などに置いてもらう販売方式を主に採用してきた。丁寧な接客を重視した対面販売が中心のビジネスモデルは、新型コロナウイルス禍でピンチに陥る。
それまで月に平均20~30件あった催事がことごとく中止に追い込まれ、2020年4月は2件にまで激減。月間の販売数量は従来の200~300足から40足程度になった。20年、全社の売り上げは前年の7割程度に下がった。
毎月の出店スケジュールを記録したカレンダー。2020年4月は2件だった
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