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<ひと ゆめ みらい>東京スカイツリー内 靴店店長・飯島直樹さん(42)=墨田区 - 東京新聞

 東京スカイツリー(墨田区)は五月に開業から十年を迎える。この十年間、展望台の足元にある商業施設「東京ソラマチ」内の革靴店で店頭に立ち続けてきた。六百三十四メートルの高さを誇る世界一の電波塔は改めて今見上げても、やっぱり「高い」と感慨深げだ。

 地元・墨田区の製靴メーカー「ヒロカワ製靴」が手掛けるブランド「SCOTCH(スコッチ) GRAIN(グレイン)」の銀座店でアルバイトから社員へ。勤続六年目のとき、開業を控えた東京スカイツリー内に開店する同ブランドの新店舗を任され驚いた。「どんな場所になるのか想像も付かなかった。開業まで手探りの準備は大変で楽しかった」。間近で塔を見上げ、期待が高まった。

 いよいよ迎えたグランドオープン。展望台は完全予約制とはいえ、ふもとの商業施設には大勢の客が押し寄せた。全国からの観光客は、自社について知らない人がほとんど。常連客が多かった銀座店と違い、観光客の「ここは靴屋ですか」から始まる接客では「地元、墨田区内の自社工場で一貫生産している靴屋です」と、会社のこだわりや製品の魅力を一から説明する。

 同ブランドの靴である「SPIDER(スパイダー)」は、江戸時代から職人の伝統が続く「ものづくりのまち」墨田区が認定する地域ブランド「すみだモダン」として二〇一一年に登録された。職人が受け継いだ技術で、各地に熱心なファンがいる。

 「スカイツリーに遊びに来て気分が高揚しているお客さまに買い物を楽しんでもらいたい」と日ごろから接客の技術を磨いている。「一足の靴を買うのはおおよそ二十〜三十分。お客さまの会話のペースに合わせて、一回は笑い合えたらぐっと距離が縮まる」。東京ソラマチ内のテナント従業員らで接客の技術を競うコンテストに何度も出場し、入賞した。

 開業ブームが落ち着き、地元客やリピーターも増えた。中には、地方から毎年上京し「今年も来たよ」と一足買い求める客や、数年前に観光ついでに立ち寄り足のサイズを記入したメモ書きを大切に保存し再来店した客もいる。

 十年間過ごした東京スカイツリーは「まるで自分の家のよう」。休日は家族と買い物や食事に訪れるが「招待している気持ちになる」。コロナ禍でかつてのにぎわいにはまだ遠いが「もう一度初心に戻って、お客さまを迎えたい」と願う。(長竹祐子)

<スコッチグレイン東京スカイツリータウン・ソラマチ店> 1階ソラマチ商店街内。午前10時〜午後9時。人気は、革のパーツを片足19枚縫い合わせた革靴「SPIDER」。同店限定モデルも。問い合わせは同店=電話03(5809)7012=へ。

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