超短時間で効果があるというエクササイズは、生まれては消えていきます。
例えば、「7分間エクササイズ」、高強度インターバルトレーニング(HIIT)などもそうです。
そこに新たな仲間が加わりました。それが、「4秒間エクササイズ」です。
私がこのエクササイズについて知ったのは、ニューヨーク・タイムズ紙の記事を通じてです。私はこの記事を読んで、今こそきちんと腰を据えて、もの申すべきタイミングだと思うに至りました。
4秒運動すれば終わりではない! 正しい「4秒間エクササイズ」とは
エクササイズ1回あたりに要する時間が短くなればなるほど、「ああ、これなら自分の忙しいスケジュールに組み込めそうだ!」と思う人は増えます。
でも実は、重い腰を上げ、エクササイズにとりかかるまでの難易度は、そのエクササイズにかかる時間の長さとはあまり関係ありません。
確かに、90分よりは30分のほうが、気軽に運動できるでしょう。でも、20分と30分を比較して、20分のほうが心理的ハードルが大幅に低くなるかというと、そうは言えないのではないでしょうか?
全体的に見て、10分のエクササイズ(着替えと準備運動も含めて)には、20分のエクササイズと比べてそれほど差があるでしょうか? そんなに違いはないというのが、私の考えです。
それに、1回あたりの時間を削ると、エクササイズの性質が大きく変わります。
運動に関する研究では、研究者側が、想像を絶するほど厳しく制限をかけない限り、被験者は、実験手順に定めた通りの運動をしないと指摘されているケースがとても多いのです。
つまり、自己流でエクササイズをしている人は、トレーニングを重ねたアスリートでない限り、実験で想定しているレベルに達していないということです。
さらに言えば、こうした研究と日常的な運動では、そもそもの前提条件が違います。タバタ式トレーニング(20秒間高負荷の運動をして、10秒間休む)や、ウィンゲートテスト(30秒間高負荷の運動をして、4分間休む)は、自転車型のエルゴメーターで行うことを想定したものです。
さらに、エルゴメーターの負荷は研究者が設定し、運動をしている間は研究者が被験者に付き添っています。
4秒間エクササイズにしても、このエクササイズを主要な「利点」としてアピールし、セールスポイントにしている特定のトレーニング用バイクで行うものです。
自宅のリビングでバーピー(Burpee、筋力トレーニングや有酸素運動として行われる全身運動)に励んだり、ジムのトレーニング用バイクで「負荷増加」ボタンをタップしたりするだけでは、超短時間エクササイズが前提としている運動強度に近づくことさえ、まず無理でしょう。
強度は意図しているより低い
HIITが流行った時の記事でも述べたように、たとえ運動している人が、「自分は超短時間で、超効率的なエクササイズをやっている」と思っていたとしても、実際の強度は、意図しているレベルよりはるかに低いものです。
しかも、こうしたエクササイズは、複数のタイプの運動(筋トレや有酸素運動など)を組み合わせた構成になっているものがほとんどです。そのため、どの運動も中途半端に終わり、効果が発揮されるレベルに達していないおそれがあります。
では実際問題として、人は誰の助けも借りずに、4秒間エクササイズ(例えば、スロープを全速力で登る運動を繰り返す運動)をやり遂げられるでしょうか?
できる人もいるでしょう。
でもこの場合、必要とされる回数をこなし、さらに運動の間に必ずとるべきとされている休息時間を加えると、すでに15分間のエクササイズと変わらないくらいの時間がかかっているはずです。
短時間エクササイズだけに頼ってはいけない理由
では、別のタイプの、人気の短期間エクササイズについても考えてみましょう。
「greasing the groove」(GtG)と呼ばれるトレーニング方法は、かなり大量のエクササイズを、1日の中で何回かに分けて繰り返し行うものです。
例えば、懸垂を1セット、1時間に一度、毎時間繰り返します。確かにこのトレーニングを毎日行えば、かなりの回数の懸垂をこなせる計算になります。
でも、懸垂だけを極めることに、どんなメリットがあるのでしょうか?
通常のエクササイズとは別に、懸垂のスキルを磨きたいというなら、これは素晴らしい方法です。
でもこれだけでは、身体能力をまんべんなく高めるエクササイズプログラムの代わりにはなりません。懸垂トレーニングだけに専念していると、脚の筋力や押し運動で使う筋力、有酸素運動能力の向上などは望めません。健康で引き締まった体を手に入れるには、筋トレと有酸素運動の「両方」が必要なのです。
エクササイズに関する複数のガイドラインでは、軽い運動なら週に150分、激しい運動なら75分を「最低ライン」として推奨しています。しかもこれは、筋トレの時間を含めない、有酸素運動だけの数字です。
150分間のウオーキングや、75分間のジョギングなど、自分が好きな運動を組み合わせて、所定の時間を確保するのでもかまいません。
15分間のセッションを3回行うことで、このうち45分を埋めるというのも悪くないでしょう。でもその3回だけで、ガイドラインが定めた残りの時間のエクササイズはしなくて済むのかといえば、そんなことはないのです。
超短時間エクササイズは、大半の人にとっては良い選択肢とは言えない
超短時間エクササイズが理にかなった選択肢になるのは、以下に挙げる2つのカテゴリーに属する人の場合です:
1つ目は、これ以外は全く運動をしない人。
2つ目は、筋トレと有酸素運動の両方で、すでに高い身体能力を獲得していて、少しの間だけ、厳しいトレーニングを休みたいと考えている人です。
あなたが1つ目のカテゴリーに入るなら、フィットネスの旅で最初の一歩を踏み出したことを、祝福したいと思います!
たとえ1ブロックでも自分の足で歩くようにすれば、ソファにずっと座っているより体には良いのです。
10回スクワットをするのも、まったくしないよりは良いでしょう。階段を駆け上がることですら、たとえ体を動かしている時間がたった数分だとしても、何もしないよりは絶対に良い心がけです。
でも、フィットネスの旅で次のステップに踏み出すには、運動する量を増やす必要があります。
同様に、筋トレやコンディショニングの世界では、「一流アスリートが数カ月の間、トレーニングを最低限に絞り込むことで、メダルの獲得や自己記録の更新につながった」というサクセスストーリーが山ほどあります。
けれども、こうしたアスリートは初心者ではないですし、キャリアの最初からこうしたトレーニングを行っていたわけでもありません。
彼らの場合、それまでに築き上げた運動能力がしっかりとした基礎となっています。鍛えられた体があるからこそ、普段以上のリカバリー効果や特定の能力の向上といった、最低限のトレーニングがもたらすメリットを得られたのです。
自分に合った超短時間エクササイズを見分ける方法
私は何も、短時間のエクササイズなどどんな人も決してするべきではない、と言っているわけではありません。ただ、運動の種類やそれをする理由について、よくよく考えるべきだと言いたいのです。
第一に、あなたは先ほど挙げた2つのカテゴリー(完全な初心者か、超一流アスリート)のどちらかに入るでしょうか? もしそうなら、ぜひ試してみたうえで、自分なりの最善の判断をしてください。
一方、2つのカテゴリーに当てはまらない場合でも、超短時間のエクササイズは選択肢になり得ます。とはいえそれは、通常行っているエクササイズに「追加する」場合に限られます。
特定のリフトやスキルのレベルアップを図りたい場合は、いつもの筋トレのルーティンに加えて、その動きを何度も練習する(GtGトレーニングのように)と、効果が得られるかもしれません。
同じように、有酸素運動に力を入れている人なら、短時間のインターバルセッションをはさむのも良いでしょう。
ただしその場合も、科学的な研究で行われているような、厳密なやり方に従う必要はありません。アスリートや指導者が編み出した、確実に効果があることがわかっているルーティンに従うほうが、賢い選択のはずです。
米Lifehackerのこちらの記事では、ランナー向けにスピード走を組み込む方法を解説しています。手始めにこうしたところから試してみるのも良いでしょう。
超短時間エクササイズは、どのくらいの時間なら有効?
では、短時間エクササイズで効果を得られる、最低限の時間というのはどのくらいなのでしょうか? これは完全に、その人の日常の行動によって異なります。それはちょうど、食材はそれ自身で「体に良い」「体に悪い」ものはなく、食生活全体の中で考えなければいけない、というのと同じ話です。
20分に満たない長さのエクササイズを探している人には、そのエクササイズにどんな効果を期待しているのか、あるいは、もっと効果がある別の運動を選ぶのを避けているだけではないのかと、自問するべきです。
ほとんどのケースでは、吐き気を催してしまうほど激しいインターバルエクササイズを10分間やるよりは、通常レベルの有酸素運動を30分間やったほうが、結果に満足できる可能性が高くなります。
さらに言えば、高負荷の運動を10分間するはずが、軽い有酸素運動になってしまった、というケースと比べれば、30分間の有酸素運動のほうが、効果は絶対に上です。
こうした自問自答の際に、何よりも大事なのは「自分がつらいことから逃げているだけなのでは?」という問いかけです。
エクササイズで目標を達成するためには、つらい努力とコツコツとやり抜く継続力が不可欠な要素です。
この点は、自分の目標が、大会で優勝を目指すことでも、持久力と筋力を備えた総合的に健康的な体を手に入れることでも、変わりません。
レベルアップしたいなら、安全かつ長続きする形で運動量を増やすしかありません。運動量を減らすための言い訳を探しても、決して望む結果は得られないのです。
Source: The New York Times
「4秒で効果あり」って本当? 超短時間エクササイズの真実 - Lifehacker JAPAN
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