
常に時代の先頭を走り続ける西野亮廣の新連載「革命のファンファーレ~現代の労働と報酬」! いまだに売れ続けているベストセラー『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』の刊行から4年経った、今の西野さんの頭の中とは? ※ここで掲載する記事は、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』に投稿した記事を、連載用に加筆修正したものです。
サービス提供者に求められる「現代の時間」の捉え方
あらゆるサービスは「可処分所得の奪い合い」から始まっています。 「可処分所得」というのは、所得から、税金やら社会保険料などを差し引いた「手取り収入(お客さんが自分の意思で自由に使えるお金)」のことです。 それがある時から「可処分時間(お客さんが自由に使える時間)の奪い合い」になったことは、すでにご存知だと思うので、ここの説明はスッ飛ばします。 現在、あらゆるサービスが「お客さんの時間を奪う戦争」に参加していますが、「それ…もう、流行んねーよ」というのが今回の内容です。 怒らずに聞いてください。
人はなぜ「知っている作品」を観に行くのか?
昨夜、映画製作チームの皆と次回作について話し合いました。 作品の中身は勿論のこと、「コミック原作やテレビドラマの映画化が全盛の中、“オリジナル作品”を世の中に届ける為にはどうすればいいのか?」というのがメインテーマです。 お腹を痛めて作品を生んだところで、お客さんに観てもらわなければ、その作品は世の中に生まれたことしてカウントされません。 作品を作る作業が「出産」であれば、作品を届ける作業は「育児」であり、「育児放棄」をしてしまう作り手は、作り手として生きていくことはできません。 作者が作品を届ける作業に精を出せば出すほど、一部の人間は、その作者を「商売人」と揶揄しますが、親が命を懸けて守らなければいけないのは「自分の外面」などではありません。 「我が子」です。 僕は(作品の)親なので、泥水をすすってでも、ボロを着てでも、世界から誤解され、時に、殴られてでも、我が子を育てあげます。 さて。 2016年に出版したビジネス書『魔法のコンパス~道なき道の歩き方~』では、「お客さんは確認作業でしか動かない。現代において『ネタバレ防止』は、まったく逆効果だ」と説きました。 「ルーブル美術館の近くに寄った際、なんとなく入館料を払って中に入って『モナリザ』を観る理由は、教科書で『モナリザ』を観たことがあるからだろう?」と。 旅行もそうですね。 人は、テレビかネットかパンフレットで「見たことがある場所」しか、旅行先として選びません。 当時、この本を出版した時(「ネタバレは積極的にやった方がいい」と提案した時)に、「ネタバレをしたら買う理由がなくなるじゃないか!」という反論があったので、絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開して、ヒットさせて、黙っていただきました。 少し手厳しい表現になりますが、『ネタバレを防ぐ』が有効打となるのは、中身を知られたらマズい「サプライズ性のある商品」か、シンプルに「クソ商品」だけです。 学生時代を振り返ってみると、『もののけ姫』の公開時は、事前番組で“ほぼ全ての”内容を観ましたが、迷わず映画館に足を運んだものです。 「本物を観たい」という動機です。 人は、利益を得られるかもしれない局面では『確実に手に入る道』を選び、反対に、損失を被るかもしれない局面では『最大限に回避する道』を選びます。 要するに、「ハズれる可能性が含まれているところに張るぐらいなら、実入りが少なくても確実に当たるところに張っちゃうよね」という話です。 今、日本は猛スピードで貧しくなり、日本人は猛烈に忙しくなっています。 「日本人は、お金と時間の無駄遣いをものすご~く嫌っている」と言えるかもしれません。 昔に比べて「知らないもの」「見たことがないもの」「ネタバレしていないもの」に賭けるリスクが高くなっているので、「知っている(見たことがある)『本物』」に人が集まる流れは避けられません。 『劇場版 鬼滅の刃』がそうでしたね。 当時、絵本『えんとつ町のプペル』の無料公開は業界関係者からも激しく非難されましたが、「中身が分からない絵本」をヒットさせるなんて、現代では、ほぼほぼ不可能です。 #ほぼほぼね と、まぁ、ここまでは『損失回避マーケティング』の話で、こんな話は、千年前からさせてもらっていて、わざわざ2021年にする話ではありません。 前フリが長くなりましたが、ここからが本題。 「現代の集客」についての話です。
【西野亮廣】認知作品は時間を奪わない(GOETHE) - Yahoo!ニュース
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