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元厚生労働次官・村木厚子さん「長時間労働が女性の活躍阻む」…[語る]霞が関 - 読売新聞

 2001年の省庁再編で新設された内閣府に男女共同参画局が設置され、女性活躍推進に向け、政府内の体制が整った。

 当時、厚生労働省の雇用均等政策課長として、男女の雇用機会均等に取り組んでいたが、国家公務員に占める女性の採用は約15%、課長級以上に登用された比率は約1%と、男女共同参画の実現ははるか遠くにゴールがぼやけて見えているという状況だった。

 私が入省した1978年組(上級職)は、全省庁で男性800人超に対して女性は22人と全体のわずか2%程度だった。配属初日、上司から「昨夜、君にお茶くみをさせるかどうかで課内で論争があったが、お茶くみをお願いしたい」と告げられた。「女は残業させられない。使いにくい」と、女性職員は敬遠される存在だった。

 国家公務員法では男女平等とあったが、男女で残業時間に格差があるなど労働時間の規制も異なり、育児休業もなかった。産後6週間で職場復帰し、保育所が見つからず、2人の娘の保育費で年間300万円ほどかかったこともあった。

 その後、男女雇用機会均等法や育休法の制定など法制面の整備は進んだが、なかなか実態がついてこないというのが2001年当時の状況だった。

 大きく変わったのは省庁再編から11年後。12年に発足した第2次安倍内閣になってからだ。「女性活躍」を掲げ、国家公務員の女性の3割採用を打ち出した。

 「女性活躍」を打ち出したのには理由がある。少子化で人口減が進む中、高齢者は増え続けるのに現役世代が減り、社会保障費が急速に増えたため、新たな労働力として女性の力が必要になったためだ。政治信条ではなく、必要に迫られて掲げた「女性活躍」だった。

 とは言え、首相官邸主導で各省庁に女性の採用3割を強烈に働きかけたことで、女性が少ない省庁も必死で採用するようになった。今では女性の採用の割合が37%まで上昇した。女性採用が増えなければ、女性登用も増えない。

 しかし、スイスの研究機関「世界経済フォーラム」が発表した21年版の男女平等度ランキングで、日本の総合順位はいまだに156か国中120位と低く、先進7か国(G7)では最下位だ。健康や教育の順位は低くないが、政治や経済は最悪の水準で、女性の能力を使わない「もったいない国」と呼ばれている。

 なぜ、日本は女性が活躍できないのかを調べると、大きな要因は長時間労働など男女の「働き方」だった。

 6歳未満の子どもがいる夫婦で夫の家事・育児の時間は、日本が1時間、欧米は2~3時間だった。夫の家事・育児時間が長いほど、妻の就業継続割合が高く、第2子以降の出生割合が高いことも判明した。日本は母親だけが育児をする「ワンオペ育児」が現状だ。男性も家事・育児ができるようにするための働き方改革がとても重要だ。

 安倍内閣は「働き方改革」も掲げたが、霞が関の旧態依然とした労働環境はあまり変わらず、新型コロナウイルス禍でむしろ厳しさが増している。仕事が増えても、人を増やすことは「悪」とみなされがちだ。仕事の外注委託や、必要性が下がった仕事は切るなどの手段を組み合わせることが重要だ。IT化など仕事を合理化するための投資は特に積極的に行う必要がある。

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