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3Dプリンターの家は300万円24時間で建つ - ITmedia

産経新聞

 自在に造形物をつくれる3Dプリンターを使って、建設費300万円の次世代住宅の実現を目指すベンチャー企業がある。セレンディクスパートナーズ(兵庫県西宮市)は、床や外壁、天井を3Dプリンターでつくることで、人の手が必要な内装を含め、300万円の低価格で住宅建設が可能としている。同様の手法は欧米などではすでに実用化されつつあり、決して夢物語ではない。2022年には別荘用の小型家屋の試験販売を開始する計画で、市場の反応が注目される。

「自由に家の買い替えを」

 「300万円なら5年程度で支払える人も少なくない。住宅ローンの負担を減らし、もっと自由に家を買い替えられる生活を実現させたい」

 同社の飯田國大最高執行責任者(COO)は、3Dプリンターを利用した次世代住宅「Sphere」(スフェア)の建設プロジェクトの意義をこう強調する。

 3Dプリンターは、物体の立体像などをスライスしたように平面の図面に落とし込んだうえで、その図面に合わせて材料を流し込み、さらに何重にも重ねて元の立体を精密に再現する。金属や樹脂、石膏(せっこう)など、さまざまな材料を用いることができ、製造業などで活用が広がっている。

photo セレンディクスパートナーズが建設する別荘のイメージ(©Clouds Architecture Office)

 セレンディクスパートナーズのプロジェクトは、3Dプリンターを用い、家の外壁や床、天井などを建設する。無人・短時間で建設可能で、そこから人の手を使ってガスや電気、内装などを施工する。敷地面積が30坪ほどの住宅なら「24時間程度で完成できる」(飯田氏)という。

 22年には、建築基準法の対象ではない床面積10平方メートル未満の建物を別荘用などとして発売。飯田氏は「同年中に同法の対象である30坪規模の建物を建設するための大臣認定を取得し、24年には一般住宅市場向けの発売を実現させたい」と意気込む。

世界ではすでに実用化

 3Dプリンターを使った住宅建設は、すでに世界各地で実用化が進められている。21年2月には米国で初めて、3Dプリンターで建設された住宅がニューヨーク州で発売されたほか、4月にはオランダで3Dプリンターで建設された賃貸住宅の提供が始まった。中東などでも建設が活発に行われている。

 日本では繊維大手のクラボウが5月、フランスの3Dプリンター企業と組み、塀などの建材やモニュメントなどの製作・販売を開始したと発表。クラボウは今後、住宅メーカーと組み、「住宅建設事業にも参画していきたい」(広報担当者)考えだ。

 一方、セレンディクスパートナーズの小間裕康最高経営責任者(CEO)は自社のプロジェクトについて、「単に安い家をつくることだけが目的ではない。あくまでも、さまざまな素材を使って、自在に建造物をつくれる3Dプリンターの技術を活用し、未来の住まいを提供することが狙いだ」と強調する。

 同社は現在、住宅や素材メーカー、通信事業者など約20社と連携し、新住宅に適した断熱性や通気性の高い外壁、外部の光をより多く取り込める窓などの実現を目指している。最新の情報通信技術を活用した防犯、防災などの居住者向けサービスの導入も目指す。

photo 海外で住宅建設に利用されている3Dプリンター(©Apis Cor)

 また、25年に開催される大阪・関西万博への出展も計画している。「木造住宅の建設手法は約400年間変化していないのが実態。それをゼロから再発明して、未来の住宅を提示しようとしている。世界が注目する万博を通じて、世界最先端の家を見せたい」と小間氏は語る。

耐震性証明のハードルも

 建設業界では、若年層の就労者減少や、既存従事者の高齢化などが深刻な問題となっており、ロボットなどを活用した省人化が喫緊の課題となっている。

 業界関係者は「住宅建設における3Dプリンターの活用は、建築基準法における認可の取得や、耐震性の証明など、超えるべきハードルは少なくない」としながらも、「建設現場での労働者不足は確実に進んでおり、住宅メーカーにとって3Dプリンターは重要な検討課題になっていくだろう」と話している。(黒川信雄)

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