
新型コロナウイルスの感染が急速に広がっている札幌市でクラスターが発生した地域の基幹病院「北海道医療センター」がNHKの取材に応じ、入院する時に行った検査では「陰性」だった患者から感染が広がった可能性が高いとする調査結果を明らかにしました。センターは「検査で陰性でも感染していないという証明にはならない」として、院内に感染者がいる前提で対策に取り組む必要があると強調しています。
札幌市にあるベッド数672床の「北海道医療センター」はことし2月以降、感染者を180人以上受け入れてきましたが、先月にクラスターが発生し、患者や看護師など合わせて16人が感染しました。
センターでクラスターの封じ込めと調査にあたった小谷俊雄医師がNHKの取材に応じ、入院する時に行ったPCR検査では「陰性」だった1人の患者から感染が広がったとみていることを明らかにしました。
小谷医師によりますと、この患者はことしの10月下旬に別の病気で入院し、2日後に退院しました。
そのおよそ10日後の先月6日、この患者を担当した看護師2人が「胃がむかむかする」といった体調の異常を訴え、PCR検査を受けた結果、「陽性」と判明しました。
退院した患者もその後、感染が確認され、センターではこの患者が10月下旬に入院した時にはすでにウイルスに感染していて、院内に広がった可能性が高いとみています。
小谷医師は「このウイルスが難しいのは潜伏期間が2日から2週間ほどと非常に長いことだ。入院時などの早い段階の検査で陰性でも、感染していないという証明にはならない」と話しています。
センターの菊地誠志院長は「水際対策をすれば万全だと思うと、落とし穴がある。ウイルスは必ず入ってくるという前提で対応を考えないと、我々のようにクラスターは起きる」と指摘し、院内に感染者がいる前提で対策に取り組む必要があると強調しました。
【潜伏期間で把握困難に】
「北海道医療センター」でクラスターの封じ込めと感染経路の調査にあたった小谷俊雄医師は、新型コロナウイルスの潜伏期間が最初の感染者の把握を難しくしたと指摘します。
小谷医師がクラスターの発生を疑うきっかけとなったのは、先月6日、休暇中の看護師2人からの体調の異常を訴える連絡でした。
2人は同じ病棟で勤務していて、連絡の4日前の先月2日から休暇をとっていましたが、1人は「微熱とせきがある」と話し、もう1人は「胃がむかむかする」と訴えました。
このうち微熱とせきがあった看護師が、連絡があった翌日の先月7日に「嗅覚に異常がある」と新たに訴えたため、小谷医師は新型コロナウイルスの感染を強く疑うようになります。
そして、この看護師と胃の異常を訴えた看護師にPCR検査を行ったところ、2人ともに感染が確認され、さらにこの2人と接触した患者と同じ病棟で体調に少しでも異常があるスタッフなど合わせて16人のうち7人が検査で「陽性」になりました。
病棟で一定程度、感染が広がっていると疑うようになった小谷医師は病棟のすべてのスタッフと、接触の可能性がある患者を退院した人も含めて洗い出し、検査することを決めます。
この時に強く意識させられたのは、2日から2週間ほどとされる新型コロナウイルスの潜伏期間だといいます。
検査のタイミングによっては、感染していても「陰性」と出る可能性があるということで、それぞれのスタッフや患者が看護師2人と接触した日などから、検査を行う最も適切なタイミングを割り出していきました。
その過程で潜伏期間から逆算すると最も早い時期に感染していた可能性が浮かび上がったのが、ことし10月下旬に3日間、別の病気で入院していた患者でした。
この患者は入院する時に行ったPCR検査では「陰性」でしたが、入院から2週間ほどたった先月10日に行った検査で感染が判明しました。
また、最初に体調の異常を訴えた看護師2人が10月下旬にいずれもこの患者を担当し、この患者と接触してからおよそ10日たった先月6日に症状が確認されていて、さらに感染が確認された合わせて16人の互いとの接触の状況や症状の記録などを調べた結果、この患者から感染が広がった可能性が高いとしています。
小谷医師は「入院してくる患者がPCR検査をする前日にウイルスをもらった可能性も考える必要がある。その次の日から2週間くらいは発症することもありうると思って院内の対策をしなければならないことを、今回の経験を通して改めて学んだ」と話しています。
【基幹病院で受け入れできず】
「北海道医療センター」は“第3波”の感染拡大に伴い、当初は先月10日に新型コロナウイルスの患者の受け入れを始める予定でしたが、クラスターが発生したことでおよそ1週間、受け入れができなくなりました。
札幌市は新型コロナウイルスの患者のために最大で確保できる病床数を「446床」としていますが、このうちの81床を「北海道医療センター」が提供することになっていて、全体のおよそ2割の病床で受け入れができなくなった計算になります。
こうした中、札幌市では連日、感染者が100人以上報告されるようになり、市内の病床がひっ迫するようになったことを背景に、センターは札幌市保健所からできるかぎり早く患者の受け入れを始めてほしいという要望を受けるようになったということです。
このためセンターは感染拡大を防ぐ対策が徹底できたと独自に判断して、クラスターが発生した先月7日から9日後の16日には重症患者を、さらに25日には軽症と中等症の患者の受け入れをそれぞれ始めました。
センターによりますと、今月4日の時点では重症者が3人、軽症と中等症が20人入院していて、その3分の2は70歳以上で、高齢者を多く引き受けているということです。
また、入院患者の中には介護度が高い患者が増えていて、1人の患者あたりに配置しなければならない人員の数も多くなっているほか、患者との接触の頻度も増えているため感染のリスクが高まっているということです。
センターの菊地誠志院長は「神経難病の患者で感染した人もいて、ほかの病院では受診できないため、当院に来ている」と述べ、センターのような基幹病院が患者を受け入れられなくなるとその影響は大きいとした上で、「ウイルスは一番弱いところから入ってくるので、誰かを責めるようなことはまったく意味がない。院内への持ち込みは常にあると覚悟を決めて、それでも診療を続けなければならない」と話しています。
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December 07, 2020 at 05:06PM
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