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新型コロナ感染確認から1年 世界は今どうなっているのか - 東京新聞

 新型コロナウイルスの感染者が中国・武漢市で初めて確認されてから8日で1年となる。世界の新規感染者は今も1日60万人程度の勢いで増え、累計で6700万人に。死者も150万人を超え、各国は未知のウイルスとの闘いに追われている。

◆米国 世界最悪で"お手上げ"

 米国の新型コロナウイルスの累計感染者は1500万人に迫り、死者は28万人以上と世界最悪の状況だ。今月に入っても猛威は収まらず、新規の感染者が1日に20万人を超えるなどダメージは計り知れない。

 トランプ大統領は当初から感染抑制よりも経済活動の再開に躍起だった。11月3日の大統領選後もツイッターで「不正投票があった」と発信し続け、感染対策はおろか国民にマスク着用を促す呼び掛けすらしてこなかった。ツイッターで新型コロナに言及したのは民間企業のワクチン開発を称賛する書き込み程度だ。

11月、米ロサンゼルスの医療機関で新型コロナウイルスの患者の治療に当たる医師ら=AP

11月、米ロサンゼルスの医療機関で新型コロナウイルスの患者の治療に当たる医師ら=AP

 選挙後しばらくは、バイデン次期大統領への政権移行の協力も拒否。業を煮やしたバイデン氏が「さらに多くの死者が出かねない」と早期の情報提供を求めたこともあった。移行手続きは先月下旬からようやく始まったが、来年1月20日の就任までは「コロナ対策を最優先する」と訴えるバイデン氏も陣頭指揮を執ることはできない。

 次期政権でも対策責任者となる国立アレルギー感染症研究所のファウチ博士は「感染者はさらに急増するだろう。国民を怖がらせたくはないが、それが現実だ」とお手上げの状態だ。

◆ヨーロッパ クリスマスの緩和で再燃の恐れ

 今春に都市封鎖(ロックダウン)を強いられた欧州各国は感染拡大の「第2波」に襲われている。夏のバカンスを経て、9月下旬から感染が再拡大。7月末に335万人だった累計感染者は、11月には1800万人を超えた。

 英仏伊などは10月下旬から相次いで、全土や特定地域でロックダウンを再び導入。各地で規制強化に対する抗議デモも起きている。現在は感染拡大は落ち着きつつあり、英仏は1カ月ほどで制限緩和を決めた。

3日、ロンドンの競技場で、距離を取ってサッカーの試合開始を待つ観客=ゲッティ・共同

3日、ロンドンの競技場で、距離を取ってサッカーの試合開始を待つ観客=ゲッティ・共同

 春の第1波で感染拡大を抑えたドイツは11月末までだった部分的なロックダウンを来年1月10日まで再延長。世論調査では約6割が支持するが、飲食店などの閉鎖継続には不満も募る。一方、厳しい行動規制を取らずに「集団免疫」獲得を目指したスウェーデンも11月中旬、集会規制を強化するなど方針転換を余儀なくされた。

 欧州各国は、家族や友人が集うクリスマス前後は規制を緩和する方針で、感染拡大の再燃も心配される。ジョンソン英首相は「楽しい気分になる季節だが、非常に注意する季節でもある」と警戒を求めている。

◆中東・アフリカ 食料不足が拍車 貧困も増加

 中東やアフリカ各国では内戦や食料不足などの問題が、新型コロナの感染拡大に拍車をかける。

 内戦が続くシリアやイエメンでは、戦闘地域に医師らが入れず、感染状況の把握自体が難しい。医療施設は爆撃などで破壊され、医薬品などの支援物資も届けられない。人々が密集する難民キャンプでは、感染者が出ても隔離や治療が難しく、多数の人が命を落とす事態になりつつある。

 世界食糧計画(WFP)によると、アフリカでは食料不足に苦しむ南スーダンの状況が最も深刻という。もともと栄養失調で免疫力が低下した人が多く、新型コロナに感染すると一気に重症化する懸念がある。

 WFP中東・アフリカ事務所のオテイファ広報官は取材に「特に栄養失調の子どもたちが危険な状態に陥っている。免疫力もなく、心配だ」と話す。

 また、ロックダウンによる経済悪化で貧困層が増加していることも懸念材料だ。国連児童基金(ユニセフ)の中東・北アフリカ地域事務所によると、管轄地域の子ども約1億7000万人のうち、1日約2ドル(約210円)以下で暮らす貧困層が年末までに約6000万人に達すると予測されている。

◆東南アジア タイの観光業界は苦境続く

 東南アジアでは、国によって累計感染者が数十人程度から50万人超までと違いが大きい。移民労働者らが多い貧困地域での感染拡大や、経済回復を急ぐあまり封じ込め途上で規制を緩めて再拡大を招くケースも目立ち、インドネシアやフィリピン、ミャンマーは依然として増加傾向だ。

 中国以外で初めて感染が確認されたタイは、初期対応が後手に回ったが、その後の厳しい入国制限やロックダウンが奏功。政府は今も「緊急時の対処が必要」として非常事態令を解除せず「第2波」を警戒する。

4月、バンコクで、ソーシャルディスタンスを守る市民たち

4月、バンコクで、ソーシャルディスタンスを守る市民たち

 日常生活や経済活動は正常化する一方、年間2兆バーツ(約7兆円)に上る外国人旅行者からの収入を絶たれた観光業界からは「対策が過剰だ」との指摘も。観光客の段階的な受け入れは始まったが、2週間の隔離や長期滞在などの条件付き。政府観光庁の担当者は「倒産や業態変更が相次ぎ、以前と変わらぬ観光の姿に戻れるのか今は分からない」と悲観的だ。

◆インド ニューデリーで感染再拡大

 インドは1日の新規感染者が9万人超となった9月以降減少に転じたが、首都ニューデリーでは再拡大。プラス続きだった国内総生産(GDP)成長率が4~6月期にマイナス23・9%まで落ち込むなど深刻だ。

◆韓国 「第1波」抑え込みは成功したが

 韓国では11月下旬から新型コロナウイルスの感染が再拡大し、1日の感染者は600人台まで増加。政府は警戒を強め、ソウルなど首都圏では8日から防疫措置を5段階の上から2番目に引き上げた。カラオケや屋内スポーツ施設は営業禁止。飲食店や大型スーパーは午後9時までに制限するほか、夜間は地下鉄やバスの運行も減らしている。

 韓国では「第1波」の抑え込みには成功した。2015年に流行した中東呼吸器症候群(MERS)への対策を教訓にできたからだ。感染経路を徹底的に追跡し、情報を公開。ドライブスルー方式も導入してPCR検査を各地で実施、隔離中の感染者が外出など違反した場合の罰則を設ける厳格な措置を取った。

7日、新型コロナウイルスの検査を受けるためソウルの保健所で列をつくる市民ら=共同

7日、新型コロナウイルスの検査を受けるためソウルの保健所で列をつくる市民ら=共同

 文在寅ムンジェイン大統領は自国の対策を「K防疫」と呼び、国際社会にアピール。4月の総選挙では、与党の圧勝にもつながった。

 一方で、住所や職場、感染前後に立ち寄った場所など個人情報を詳細に公開する手法には、プライバシーの侵害との批判も続出。政府は、個人が特定できる情報は公開しないなどと指針を改めた。

(ニューヨーク・杉藤貴浩、ロンドン・藤沢有哉、ベルリン・近藤晶、パリ・谷悠己、バンコク・岩崎健太朗、カイロ・蜘手美鶴、ソウル・中村彰宏)

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