パラアスリートを20年間撮り続けてきた写真家の越智貴雄さん（41）が25日、義足の女性たちをモデルにしたカレンダー「切断ヴィーナス」を発売する。「魅（み）せる義足」を前面に押し出した同名の写真集を発売してから6年。東京パラリンピック開催決定を機に、義足に対する社会の目線の変化を感じている。
8月初めの夕方、グランフロント大阪（大阪市北区）でカレンダーの撮影が行われた。ショーウィンドーの中で、海音（あまね）さん（18）が次々とポーズを決める。ストロボがたかれ、右足の銀色の義足が光を放つと、道行く人たちが何度も振り返った。
2000年のシドニー・パラリンピックに、当時大学生だった越智さんはフリーカメラマンとして臨んだ。走り、跳ぶ選手たちの姿に障害者のイメージが覆り、大会が終わる頃には魅了されていた。その後、夏冬すべての大会に通うほどのめり込んだ。
14年には、義肢装具士の臼井二美男さん（64）とともに、義足を隠さず前を向く女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版した。花柄の義足で海に潜ったり、無機質さを生かしてバイクと組み合わせたり。隠すことが前提だった義足の新たな可能性を表現し、新しい風を吹き込んだ。
ただ、反応は割れた。評価する声の半面、「どう受け止めていいかわからない」という声も多かった。「義足は『怖い』『かわいそう』というイメージがまだ強かった」と越智さん。家族の反対を押し切り、撮影に応じた女性もいた。
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海音さんが右足を切断したのもちょうどその頃だった。血管の難病を患い、右足の親指から始まった壊死（えし）は足首まで達した。12歳。中学1年の夏だった。
3歳でモデルを始めて、10歳…
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