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三浦春馬さん「自殺」でテレビ報道の”ルール違反”。日テレとテレ朝は改善。TBSとフジは変わらず!(水島宏明) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

 三浦春馬さんのニュースをめぐってテレビ各社の報道姿勢をWHO(世界保健機関)の「自殺報道ガイドライン」に照らして見た時、「ルール違反」と言えるようなテレビ報道が相次いでいることを三浦さんの死の速報が入った7月18日(土)と翌19日(日)の放送をチェックして公表したところ、かなり大きな反響があった。

 「テレビ離れ」が言われる中でも、テレビへの信頼や期待が一定程度以上はあるからだと感じる。

 20日(月)にはWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守する形で「相談窓口」の情報を加えて意識的に報道するようになった、冒頭の写真のようなテレビ朝日や日本テレビのような局がある一方で、変化が見られず「反省していない」ように見えるTBSやフジの一部の番組が目についた。

 筆者が19日に問題提起したのは以下の記事だった。

テレビ報道はルール違反だらけ!三浦春馬さんの「自殺」のニュース

 冒頭に掲げたTBSテレビのニュースは18日に同局が初めて三浦春馬さんの死去について伝えたものだったが、「自殺報道」をめぐる見出し(ヘッドライン)の表現として極めて問題が大きい。「自殺か 三浦春馬さん(30)自宅で首つり死亡」という見出しの字幕がアナウンサーの前に登場する。

 三浦春馬さんの自殺そのものを伝えるにあたって「どういう方法で死亡したのか」が見出しでも強調して示している。さらにニュースでは、VTRでも三浦春馬さんが自宅マンション内の部屋のどの場所で、どういう姿で発見されたのかを「字幕」と「原稿」で伝えていた。自殺の方法が目に浮かぶぐらい詳細に伝えているのだ。

これでは「詳しく伝えすぎ」だ

出典:ヤフーニュース個人(7月19日)「三浦春馬さん『自殺』でテレビ報道の”ガイドライン違反”が続々!」

 自殺防止の活動に取り組む団体が18日夜に全国紙やNHKやキー局など報道各社に「自殺報道ガイドライン」を遵守するように文書を送って求めたが、その成果なのか、一部のテレビ番組(日本テレビ「真相報道バンキシャ!」など)はかなり抑制的に伝える姿勢に徹して「自殺」を強調せず、その方法も明示しない報道姿勢を見せていた。

 では三浦春馬さんの死後、初めての平日になった20日(月)の報道はどうなったのか。追跡して検証してみたい。

 なぜなら、平日は朝から午後にかけてワイドショーと呼ばれる情報番組も多く、人気俳優の死をセンセーショナルに扱いかねない。

 また平日の夕方のニュース番組も「報道番組」とは言いながらも芸能情報も厚く扱うなど土日の短いニュース番組とは報道姿勢が異なるからだ。特に民放の場合には、番組ごとに報道姿勢が違う方針がある場合もあるため、詳細をチェックする必要があると考えるからだ。 

 前回の記事と同じく、筆者の目から見てWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守していると思われるものは「〇」、理想的と思われる報道は◎、違反と思われるものは「×」、違反の度合いが悪質と思われるものは「××」、遵守か違反か判断が微妙な場合は「△」とした。判断はテレビ報道歴が30年以上を経験した筆者の個人的な判断とした。

【7月9日(月曜日)】

・日本テレビ

 …「Oha!4 NEWS LIVE」〇 「三浦春馬さん急逝」「自宅で発見され搬送先の病院で死亡」

 …「ZIP!」〇 「三浦春馬さん(30)死去」として報道。「自殺」という言葉も避け、どのように死去したかも「自宅で発見され」「搬送先の病院で死亡」と字幕と原稿で伝えた。彼の人生を振り返るVTRを伝えた。

 …「スッキリ」× 「自殺か三浦春馬さん(30)“遺書”も」というサブタイトルの字幕がVTRに流れる。「(自宅マンションの)**の中で首をつっているのが見つかりました」というナレーション原稿はあった(字幕にはせず)。「自殺か」という字幕は大きく入れていた。

 …「ミヤネ屋」(読売テレビ・制作)〇 「自殺」という言葉は字幕で使わなかった。司会の宮根誠司が「自殺とみられる」とコメントする程度で抑えた。

…「news every,」〇 「三浦春馬さん(30)死去 )所属事務所がコメント」というニュースで伝えた。三浦さんの死亡の経緯については「自宅マンションで意識のない状態で発見 搬送先の病院で死亡」と字幕とナレーションで伝えたが発見された時の状況は詳しく触れず。

 …「news zero」◎ スタジオでアナウンサーが「おととい、都内の病院で亡くなっていたことが確認されました」とコメント。

 番組内では「悩むあなたへ  ひとりで抱え込まずに相談を」…と字幕を掲げて、有働由美子キャスターがLINEと電話の相談窓口をフリップで紹介した。

  *筆者が見たところ、日本テレビでは報道局が中心になって基本的にWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守しようという指示や上層部の意思決定があったものと想像される。自殺念慮のある人を相談に結びつけようという姿勢が前夜の「真相報道バンキシャ!」に続いて明確だ。ニュース番組のみならず、情報番組でも徹底されていた。

・テレビ朝日

 …「グッド!モーニング」〇 見出しの字幕を「俳優三浦春馬さん(30)急逝」としてVTR中も「自宅マンションで意識不明の状態で発見される」という字幕で発見時の詳細を避ける表現にしている。他方で「現場から遺書が見つかる→自殺を図ったとみられる」とし、あまり強調しない形で「自殺」について伝えている。WHOの「自殺報道ガイドライン」を意識している様子が見て取れる。またVTRの最後で「悩みを抱えている人は厚生労働省のホームページに相談窓口が掲載されています」として「こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556」(厚労省HPから)について情報を示した。

 …「羽鳥慎一モーニングショー」△  スタジオ部分で「関係者語る素顔 三浦春馬さん(30)自殺か」という見出しの字幕と「自殺と見られています」と羽鳥慎一キャスターがコメント。コーナーの終わりに「(相談の相手が)いない場合に窓口というものがあります」としてスタジオ内でフリップで「こころの健康相談統一ダイヤル」の電話番号を示していた。

 …「大下容子ワイド!スクランブル」〇  「訃報 三浦春馬さん(30)死去 悲しみの声あふれる」と字幕で示し、「意識不明の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました」とし、「自殺」という言葉を避けて死に方の詳細にも触れずに報道した。コーナーの終わりで厚労省の「こころの健康相談統一ダイヤル」の電話番号を紹介した。

 …「スーパーJチャンネル」◎ 所属事務所がコメントを発表を見出しにした。三浦さんの死を伝えるニュースでは「自殺」という言葉も避けて最後では、スタジオに「こころの健康相談統一ダイヤル」の電話番号を出して、アナウンサーが「こうしたコロナ禍で周囲になかなか打ち明けにくい状況でもあると思います。厚生労働省のホームページを見ますと…」として「悩みを相談できる電話番号が複数掲載されています。他にもLINEなどSNSを使って相談できるところもあります」と相談ダイヤルを告知した(この記事の冒頭にある写真)。

 *筆者が見たところ、日本テレビ同様にテレビ朝日でも、WHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守するような上層部の指示や意思決定があったものと推測される。その方針は番組によって若干の濃淡は見られるものの基本的にニュース番組だけでなく、情報番組でも徹底されている。

・TBS

 …「あさチャン」× 「三浦春馬さん(30死去 ”師匠”語る素顔」という字幕で伝えた。だが、字幕は出さなかったものの「マネージャーが東京・港区の自宅マンションを訪れたところ、**の中で三浦さんが首をつっているのが見つかり」と自殺の方法が分かるような報道をしていた。(**は自宅内の特定の場所を指す)

 …「グッとラック!」×× タイトルこそ「訃報 三浦春馬さん(30)早すぎる死」「突然すぎる死」などの字幕で伝えたものの、VTR中では「おととい 自宅で首をつっている状態で発見」と字幕とナレーションでその様子を詳しく説明して、どういう自殺だったのかを想像することができるように報道した(写真)。

7月20日(月)TBS「グッとラック!」(筆者が画面を撮影)
7月20日(月)TBS「グッとラック!」(筆者が画面を撮影)

 日本テレビやテレビ朝日のように「相談窓口」を伝えることもなかった。

 …「ひるおび!」××タイトルこそ「三浦春馬さん(30)死去」となってはいたが、「おとおい午後1時ごろ 自宅マンションの**の中で首をつっているのが見つかり搬送先の病院で死亡確認」(**は自宅内の特定の場所を指す)と自殺の方法まで想像できるように詳しく報道している。明らかにWHOの「自殺報道ガイドライン」違反だ。ボードに貼り付けたスポーツ紙の記事も「自殺」と大きく書かれた前日の記事を使用して「首をつった状態」という記事部分をスタジオカメラで写し出していた。また、スタジオで紹介したスポーツ紙でも三浦さんが残したというメモの言葉をそのまま使った「死を考えている」という大見出しを写し出していた。もしも自殺念慮(自殺をしようと考えること)がある視聴者がいたとしたら、そうした思いに火をつけかねない言葉である。慎重さを欠き、他方では相談窓口などを紹介しない放送だった。

 …「ゴゴスマ」(制作はCBCテレビ)〇 スタジオのボードに「三浦春馬さん(30)自殺か 自宅には遺書のようなもの」と記されて三浦さんの訃報のニュースが始まった。VTRの中では「首つり」などの表現は字幕でもナレーションでも避けられ、コーナーの最後では「いのちの電話」のフリーダイヤルの番号をフリップで紹介した。

 キー局のTBSがそれまでいっさい報道しなかった相談窓口についての報道を系列の地方局であるCBCテレビが先んじて行ったことは評価すべきことだろう。

 …「Nスタ」◎ 「悲しみ 三浦春馬さん(30)死去 部屋から仕事の悩みなど手帳に…」という見出し。「おととい亡くなった」として三浦さんの死についてニュースとしての「続報」という形式で伝えた。「死生観」や「死に関する記述」が見つかったという報道だ。「自殺」という言葉は避けている。三浦さんの死を悼むファンや関係者の反応を伝えた後で、井上貴博キャスターが「相談窓口は複数あります。ぜひ頼ってください」として「こころの健康相談統一ダイヤル」の電話番号を紹介した。番組内で三浦さんの死去について伝える際はこのパターンを繰り返した。

 …「news23」◎ 「Nスタ」と同じようなニュースの内容。コーナーの終わりでアナウンサーが「不安や悩みを抱えた場合、相談窓口は複数あります」として「いのちの電話」の電話番号やLINEの「生きずらびっと」友だち追加などの相談対応へのルートを示した。

 *TBS では「ニュース」を伝える報道局内でWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守しようという意思決定や指示があったものと思われる。ただし、その方針は「情報番組」には行き渡っていないようだ。

・フジテレビ

 …「めざましテレビ」×× 「三浦春馬さん(30)急死 自宅で…」というタイトルで字幕で強調しなかったものの、読み原稿では「おととい、自宅マンションの**の中で首をつった状態で見つかり」と、発見時の様子を詳しく報道、WHOの「自殺報道ガイドライン」を逸脱した伝え方をしていた。また部屋から見つかった手帳に「『死にたい』という自らの気持ちのほか思い悩む様子」などが書かれていたと報道した。これは自殺念慮のある人にとって、「後追い」を誘発しかねない危険な報道の仕方だ。日本テレビやテレビ朝日のように「相談窓口」を示すこともなかった。

 …「とくダネ!」×× 「おととい**の中で首をつった状態の三浦さんを発見」と字幕と原稿で、自殺の方法を明示している。これはWHOの「自殺報道ガイドライン」に違反する伝え方だと言える。ただし三浦さんの死去を伝えるコーナーの最後で「相談できる場所」として「こころの健康相談統一ダイヤル」の番号を示していた。

 …「ノンストップ!」△ 三浦さんの死去について「自殺」などの表現は避けた。しかし相談窓口の提示もしなかった。

 …「バイキング」×× 「三浦春馬さん(30)突然の死」という見出し。自殺を強調することは避けているが、「自ら命を絶ったとされる」などコメントで自殺したことを示していた。それだけでなく、7月18日以降のあらゆる報道の中で一番、「自殺の方法」について詳細に報道していた。自宅のどこの場所でどのように「首をつった」のかまでが分かるように報道していた。「後追い」などを誘発しかねず、悪質性は極めて高い報道だと言える。どのようにひどい内容なのかは番組を画像を切り取ればすぐにお分かりいただけるはずだが、「自殺防止」を防ぐことを目的にしたこの原稿がそれを再現することはできないため、想像していただくほかはない。筆者のようにテレビ番組の制作者だった人間としては、今どきこのような無神経な報道の仕方をするフジテレビのこの番組には非常に残念に思うほど、ひどい内容だった(写真)。

7月20日(月)フジテレビ「バイキング」(VTR部分で発見時の様子や場所について方法が分かるほど詳細に報道)筆者が画面を撮影
7月20日(月)フジテレビ「バイキング」(VTR部分で発見時の様子や場所について方法が分かるほど詳細に報道)筆者が画面を撮影

 …「直撃LIVE グッディ!」× VTRでは「おととい自宅で亡くなっていた」と伝え、発見時の詳細については表現を避けた印象だったが、室内で見つかった手帳に「死にたい」という気持ちが記されていたと字幕とナレーションで報道した。

 自殺念慮を持つ視聴者の存在を考えると、「後追い」などを誘発しかねない報道でWHOの「自殺報道ガイドライン」の”ルール違反”と言える内容だ。「死を考えている」という言葉を大見出しにしたスポーツニッポンの紙面を映像で使うなど、配慮した末の扱いとは言えない内容だった。長いコーナーの最後で「いのちの電話」のフリーダイヤルを紹介していた。

 *「バイキング」も「グッディ!」もともに、最後に「相談窓口」について告知さえすれば、報道の中身全体では配慮を欠いてもいいとでは言うような姿勢が透けて見える。もしそうだとすればとても残念なことだ。

 …「Live News it!」× VTR中で「おととい東京・港区の自宅から病院へ搬送→死亡確認」などと字幕とナレーションで伝えた後に「室内で見つかった手帳の内容宇から自殺を図ったか」と字幕とナレーションで伝えていた。また、自宅マンションを訪れた30代の女性ファンの声を放送していた。

(女性ファンの話)

「人として命を絶つことは自分だけじゃなく周りを不幸にするのでファンの『後追い』は絶対あってはならないと思っています」

 実際にこのように発言したファンがいたとしても、テレビ放送でこの声を伝えることが「自殺報道ガイドライン」に照らして適切なのかどうかはかなり疑わしいと思う。なぜなら、見ている人間に「後追い」という選択肢があることを放送の中で特定多数の人に伝えてしまうからだ。かなり危険な報道というほかない。コーナーの最後で「いのちの電話」の電話番号を伝えていたが、同局の場合には「バイキング」「グッディ!」なども番組も含めて、形式的にルールを守ればいい、というような安直な姿勢にも感じてしまう。どういう伝え方ならば許されるのか。フジテレビは自殺防止の活動に取り組んでいる専門家に逐一助言してもらった方がいいのではないか。

 TBSは情報番組とニュース番組での扱いの差が大いに気になる。本来、ニュース番組でも情報番組であっても、同じ局として報道する以上は同じような「配慮」がされていてしかるべきだ。残念ながら同局の場合は個々の番組の独立性を重視しているのか、局として徹底されていない印象を受ける。

 以上、三浦春馬さんの衝撃の死から「最初の平日」となった20日(月)の報道について検証してみた。

 テレビ局として、ニュース番組も情報番組もほぼ同じ姿勢でWHOの「自殺報道ガイドライン」を遵守しようとするように見える日本テレビとテレビ朝日。番組によって異なる対応を見せたTBS。この日も自殺防止の観点から見れば「ひどい放送」が行われていたフジテレビなど、それぞれで対応に差が見えた。

 こういう時に、きちんと「テレビ局として同じ姿勢」を示すことができるかどうかで、テレビに対する「信頼」「信用」などにつながっていくはずだ。こうして視聴者の注目がテレビ報道に集まっている時こそ、「ルール」や「倫理」をきちんと守る配慮を見せて「テレビも配慮できるメディアなのだ」ということを自ら示してほしい。特にTBSとフジテレビの一部の番組には猛省を促したい。 

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July 21, 2020 at 07:47AM
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