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中韓から入国制限、観光地「先見えない」 新型コロナ - 日本経済新聞

感染が広がる新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、政府が5日に明らかにした中国・韓国からの入国制限。入国時に施設で2週間の待機が求められることになり、両国からの訪日客数がさらに落ち込むのは必至だ。長引く「コロナ不況」に、各地の観光関係者は落胆の色を強くしている。

羽田空港国際線ターミナルの韓国行きチェックインカウンターを利用する旅行客(5日)

羽田空港国際線ターミナルの韓国行きチェックインカウンターを利用する旅行客(5日)

「これで再開がさらに見通せなくなった」。浜松市の温泉旅館で副支配人を務める男性は5日、声を落とした。同旅館は2019年から中国人団体客だけを受け入れていたが、新型コロナの感染拡大を受け、2月1日以降の予約はゼロに。現在は休館し、従業員だけで部屋の修繕や敷地内の草刈りなどを行っている。男性は「感染の終息を祈るしかない。受け入れ準備はできているのに……」と唇をかんだ。

東京と京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」上にあり、中国便が多く就航する静岡空港を抱える静岡県は中国人旅行客に人気が高い。県観光政策課によると、18年の県内の外国人宿泊者の約65%を中国人が占めるが、新型コロナの影響で2月5日までに県内の宿泊キャンセルは約9万人分に上り、その後もキャンセルが続いている。

大分県の別府市旅館ホテル組合連合会(別府市)の担当者も「これからどうなっていくのか。まったく先が見えない」と声を落とした。春節に重なった中国からの団体旅行禁止や国内の外出自粛ムードの広がりなどで、国内外から宿泊キャンセルが相次ぎ、観光客は例年に比べ半分程度に減った。

担当者は「観光地はどこでも大変なのは分かっているので、下を向いてばかりはいられない。今は別府から感染を拡大させないよう、各施設で対策を強化していくしかない」と話した。

大分県由布市の由布院温泉にあるホテルでは1月下旬以降、中国人客が前年同時期より9割減った。担当者は「それでも残り1割は個人客として来ていたのに生命線が絶たれてしまう」と嘆く。

同市の別の旅館では2月以降の中国人客はゼロだったが、韓国人客は一定数来ていた。支配人は「日本人客も減っている以上、一時休館も選択肢として考えざるを得ない」と話すが、従業員の反発も根強く対応を決めかねているという。

観光以外にも影響は広がりそうだ。高松市の仏具店の営業担当の男性は「法事やお香の講習など人が集まる行事を取りやめている中で、中国人観光客の来店も減るのではないか」と不安をのぞかせた。新型コロナの感染が広がってからもお香や美術品を求める中国人客の来店は続いていた。「観光などに比べて小売りはそこまで影響がないと思っていたが、ここまでとは予想外だ」と驚いていた。

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March 05, 2020 at 08:30PM
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