
故スティーブ・ジョブズが履いていた茶色のビルケンシュトックのサンダル。2022年のオークションで、21万8750ドル(約3000万円)で落札された Photo: Roderick Aichinger / The New York Times
足にいいおしゃれなサンダルとして人気を得て、2023年10月にはニューヨークで新規株式公開を果たしたビルケンシュトック。しかし、ドイツで生まれたこのサンダルには、長年「ダサい靴」と言われ続けた過去がある。その評判はどうやって塗り替えられたのか、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が探った。
「ダサい」存在だったサンダル
ビルケンシュトックの物語は、人気を得たドイツのサンダルブランドの話かもしれない。しかし、そのファッションストーリーは一筋縄ではいかない。
249年の歴史を持つ同ブランドは、そのほとんどの期間でダサいものの代名詞とされていた。そのサンダルを身につけるのはたいていヒッピーや変わり者のおばさん、山にいないときのハイカーなどだった。くるぶし丈の靴下と合わせて履いている教員もいた。
しかし、時間が経つにつれ、整形外科医推奨のようなこの靴には、熱心なファンが増えていった。それは履き心地の良いコルクとラテックスで作られた成型インソールと、その耐久性の高さのおかげだ。同社のサンダルは、ドイツの医療専門家や、アップル創業者のスティーブ・ジョブズのような反体制的な一握りの著名人に特に好まれた。2022年、ジョブズが履き潰した茶色のビルケンシュトックのサンダルは、21万8750ドル(約3000万円)で落札された。それでもビルケンシュトックは決して最先端のファッションではなかった。
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