ルーツをたどると、ロンドンの靴職人がヴィクトリア女王陛下のために考案した靴にさかのぼると言われているサイドゴアブーツ。
このブーツの特徴は、はき口の両サイドにU字状のゴムが編み込まれたゴアと呼ばれる生地(英語表記gore)がついているのが特徴。当時は、ゴム生地(当時は最先端素材)を靴に使うという発想はほとんどなく、ハイテクな靴だったのではないかと思います。
ちなみに、当時の上流階級の女性の靴は、編み上げのブーツや短靴でもメンズのドレスシューズのようにヒモ付きというのが一般的。お年を召した女王陛下には従来の靴は、たとえ召使いにヒモを結んでもらったとしても、その締め付け感が不快で、脱ぎ履きが煩わしいと感じたのでしょうか? そうした不満を一気に解消したのが、このサイドゴアブーツだったとか。
その後1960年代になるとこの靴が再び脚光を浴びます。ビートルズを筆頭に当時のロンドンのチェルシー地区に集まるトレンディーな人がこぞってこのサイドゴアブーツを履き出したのです。そのため、ビートルズブーツ(ビートルブーツとも)とかチェルシーブーツという別名がつき、後に日本でも大流行。
ビートルズが履いていたデザインを当時の写真で見直すと、現在のイギリスの老舗靴ブランドのデザインとは若干違うことがわかります。まず、足首から甲にかけて(アッパー)に縫い目が入っていて、つま先も尖っています。そして、ヒールはウエスタンブーツのような高さ(約4〜6cm)があり、後ろ側が前に向かってえぐれています。とはいえ、ちゃんと両サイドにはゴアがあるので、大きなデザインのくくりで見ればサイドゴアブーツと呼べます。
ちなみに、当時ビートルズのメンバーが履いていたのはスペインのダンス用のレディースブーツをアレンジした物だったとか? そう見ると、この細身のシャープでヒールがあるのも納得。
ここで、注目したいのはビートルズや当時のロンドンのセレブがこぞって履いたのは、機能的だったことよりも、そのスマートなデザインが当時のファッションと絶妙にリンクし斬新に見えたところ。
※以上の逸話には諸説あります
ロンドンのチェルシー通りでサイドゴアブーツが流行ってから約60年近く経ったいま、またもやこのブーツに脚光が当たっています。
正確に言うと昨年あたりから、女性のファッションブロガーやモデルがワンピースからジーンズまで季節を問わず履き始めたのです。そうしたことが少なからず影響したのか、今年はメンズでもモードブランドからセレクトショップまでこのデザインを見かけるようになりました。
今回のジェントルマンは全身ワントーンのモード感満載のコーディネートにサイドゴアブーツ。この靴の削ぎ落とされたシンプルなデザインが、全体と見事に調和しています。特にスリムなパンツとの一体感は抜群です。
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