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清水宏保がこだわり抜いたスケート靴と理想のゴルフクラブ(1/2) - ゴルフダイジェスト・オンライン

2022年 日本シャフト 清水宏保 金メダリスト・清水宏保が現役当時のこだわりとゴルフへの熱意を語る(撮影:落合隆仁)
金メダリスト・清水宏保が現役当時のこだわりとゴルフへの熱意を語る(撮影:落合隆仁)

技術、クラブ、ウェア…。ゴルフのこだわりは人それぞれ。そこに様々な楽しみ方が存在するからこそ、幅広い層に愛され続けているのだろう。日本シャフトは完全国内生産でスチール、カーボンの両方を扱うこだわりのシャフトメーカー。新たなシャフトを生み出す開発陣から、それを手にするエンドユーザーまで、同社の周りには“こだわりの人”にあふれている。

金メダルへと導いた大きな決断

1998年「長野五輪」スピードスケート500mの金メダリスト・清水宏保(敬称略、以下同)は、時代の変化とも戦ったアスリートだった。長野五輪の直前にはスケート靴が進化し、トレーニングは根性論から科学的なものに変わっていく。そのなかでも変わらずに持ち続けたこだわりが世界の頂点へとつながった。

ゴルフ界でドライバーヘッドの大型化が急速に進んでいたころ、スピードスケートの世界ではブレード(刃)のかかと側がシューズから離れる「スラップスケート」が一躍脚光を浴びていた。長距離種目での使用が当たり前になったのは長野五輪の前シーズンからで、導入が早かった欧州勢が好タイムを連発した。一方で、耐久性などの問題から導入が遅れていたのが男子短距離。長野五輪ではこの新しいシューズをいかに使いこなすかが、勝負のカギを握る大きなポイントとなった。

2022年 日本シャフト 清水宏保 日本を代表するトップスケーターとして大きな重圧とも戦った(撮影:落合隆仁)
日本を代表するトップスケーターとして大きな重圧とも戦った(撮影:落合隆仁)

そんな状況で、清水は開幕のギリギリまでブレードが固定された従来のシューズを履き続けるという意外な決断をする。「スラップスケートは、より長く氷を蹴ることを意識した滑りが正解だとされていました。でも、ボクは体の真下で蹴るのは以前と同じで、その先は惰性で滑るものだと考えていました」

優先するのは、履き慣れた従来のシューズでベースとなる技術を磨き上げること。スラップスケートへの移行はそれからでも遅くはない。基本にこだわった当時の清水の判断が正しかったことは、金メダルという結果が証明している。

こだわりのシューズに宿った勝利の女神

100分の1秒を争う世界だけに、シューズには徹底的にこだわってきた。靴底から足を固定する部分をいち早く軽量のカーボン素材に切り替え、レーシングカーを作る日本企業に特注。一方で、ブレードはオランダ製を選んだ。

2022年 日本シャフト 清水宏保 清水宏保が現役当時に使用したスラップスケート
清水宏保が現役当時に使用したスラップスケート

「本当に当たりはずれがあって、真っ直ぐなブレードもあれば、微妙に曲がっているものある。当時の選手は年に2~3本購入して試すのですが、競技人生で1~2本当たればいい、というぐらい。作った時期や職人による溶接温度の違いによって“しなり”が変わってくるんです。今はクオリティが上がって当たりはずれは少ないんですが、ボクらの時代はそんな感じでした」

ブレードは日々研がれていくため、2年ほどで交換せざるを得ない。ときには妥協も必要のなか、数少ない“当たり”で長野五輪を迎えられたことは幸運な巡り合わせだった。

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