今年、日本だけでなく世界中を襲った記録的な異常気象。その原因の1つと言われているのが、地球温暖化です。この温暖化を食い止めようと、あるユニークな取り組みを行っている世界的な企業があります。
アメリカ・サンフランシスコで2016年に誕生したブランド『オールバーズ』。アメリカのタイム誌が“世界で一番快適な靴”と紹介し、オバマ元アメリカ大統領をはじめ、レオナルド・ディカプリオ氏やレディー・ガガ氏など、名だたる著名人が愛用しています。
このブランドの創業者は、異色の経歴の持ち主でした。オールバーズCEOのティム・ブラウンさんは、元サッカーのニュージーランド代表でもあります。
ティム・ブラウンCEO:「今年は本当にあと一歩でした。コスタリカに勝ってW杯に出場していたら、日本やスペインなどと戦えたのに…残念です」
元プロサッカー選手が、引退後に共同経営者と立ち上げたオールバーズは、創業からわずか6年で1300億円の売り上げを達成。その人気の秘訣は…。
ティム・ブラウンCEO:「『ビジネスの力で気候変動を逆転させる』これが我々のミッションなんです」
脱炭素社会へ向け、世界の国々が取り組む、気候変動問題。ブラウンさんは、元プロサッカー選手ゆえ、その問題をいち早く感じていました。
ティム・ブラウンCEO:「プロ選手は、タダでシューズやウエアを提供してもらえますよね。僕にも毎週送られてきたんですが、その多くが石油由来の合成繊維でできていました。これらを自然素材に変え、新しいスニーカーを作りたいと考えたんです」
オールバーズの製品を見てみると、見慣れない数字が書かれています。
ティム・ブラウンCEO:「これはカーボンフットプリントという数値で、食品で言うカロリー表示のようなものです。商品が環境に与える影響を数字で表しているんです」
『カーボンフットプリント』を直訳すると『炭素の足跡』。製品の誕生から廃棄されるまでに、どれぐらい温室効果ガスを排出するかを“見える化”した数値のことです。
ティム・ブラウンCEO:「算出には大きく5つのステップがあります」
例えば、カーボンフットプリント9.9kgCO2e(キロシーオーツー)のスニーカーの場合。まずは、オールバーズのスニーカーの主な原料である羊の毛の入手に5.9かかり、その後、工場での製造工程でプラス1.1。さらに、輸送の際に2.1加算。購入後は、年3回の洗濯機の利用でプラス0.1。最後に使わなくなり、廃棄するのに0.7かかります。その合計がカーボンフットプリント9.9kgCO2eとなるのです。
現在、オールバーズのスニーカーのカーボンフットプリントの平均値は10kgCO2e。これは、一般的なスニーカーより約30%も低い数値だといいます。
実は日本でも経済産業省が主導し、その表示に取り組み、一部食料品や玩具などに表示されていますが、いまだ普及には至っていません。そんななか、オールバーズでは…。
ティム・ブラウンCEO:「我々は2025年までに、カーボンフットプリントを半減させるプロジェクトを進めています。これは南アフリカのユーカリが原料。この靴のソールは、ブラジルのサトウキビから糖を抽出し、エタノールへ変換して作っています」
天然素材の使用にこだわるブラウンさんの見つめる未来とは。
ティム・ブラウンCEO:「今、有機食品はスーパーでも購入できて、味がよく、体にいいものだと認識されていますよね。これはどこかの時点で変化が起きたんです。同様に今、サステイナブルな商品と言えば『値段は高いが質は劣る』という印象かもしれません。しかし、人々の意識は変化しつつあります。ですから、問い続けることが重要です。近い将来、多くの人が買い物をする際に、価格だけでなく、カーボンフットプリントを考慮する時代になっているでしょう」
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