グーグルのステファニー・デイヴィスはアメリカ出身で、2017年からシンガポールに駐在している。
Stephanie Davis
- シンガポール在住のグーグル幹部、ステファニー・デイヴィス(Stephanie Davis)は、毎週40時間をミーティングに費やしている。
- 「燃え尽き」や「Zoom疲れ」対策として、デイヴィスはヨガやセーリングなどのセルフケアを欠かさない。また、日々のスケジュールに3分間の休憩を組み込んでいる。
- アメリカでは、離職する労働者が激増しており、その多くが「燃え尽き」を理由に挙げている。
長引くコロナ禍で、多くの従業員たちが限界まで追い詰められている。
在宅勤務が可能な恵まれた立場にいる人でも、長期間に渡る感情や精神面での重圧によって「燃え尽き」という問題に直面している。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが2年目に突入するなかで、従業員たちが精神的に疲れ果てていることを示す調査結果が続々と発表されている。アメリカでは、仕事を辞める人の数が史上最高レベルに達しており、その多くが離職の動機に「ワーク・ライフ・バランスの改善」を挙げている。求人情報サイト「モンスター・コム(Monster.com)」が6月に行った調査では、対象となった労働者のほぼすべてが、今の仕事を辞めることを検討していると回答し、その多くが「燃え尽き」を主な理由として挙げた。
「コロナ禍で我々は『事態が自分の手に負えない』という感覚を抱いた」と語るのは、グーグルの東南アジア担当バイスプレジデントで、現在はシンガポールに住んでいるステファニー・デイヴィス(Stephanie Davis)だ。「心が弱くなり、中には無力感に襲われた人もいる。そのため、バーンアウト(燃え尽き)が大きな問題としてクローズアップされた」と彼女は先日のビデオ通話による取材時に語った。
デイヴィスも、「燃え尽き」と無縁ではない。Insiderに明かしてくれたスケジュールを見ると、ミーティングに費やす時間は1週間あたり合計40時間に達し、その大半が現在はオンラインで行われている。デイヴィスが統括するチームは、シンガポールにあるグーグルの東南アジア本部だけでなく、東南アジア地域全体に広がっている。本人によれば、1日12時間働くことも珍しくないという。
そこでデイヴィスに、これだけ多くのオンライン会議をこなす中で、「燃え尽き」やいわゆる「Zoom疲れ」(と言っても彼女は当然Google Meetを使っている)をどう予防しているのかを聞いた。
多忙な生活でも時間を生み出す5つの「カレンダーマジック」
燃え尽き防止のために試してきた対策の中でも、最も有用だったのは、セルフケアを優先することと、スケジュールの無駄を見直すことの2点だったとデイヴィスは言う。
デイヴィスにとっての「セルフケア」とは、仕事モードをオフにし、ハイキングやヨガ、アメリカに住む家族との交流、夫を伴ってのシンガポール近海でのセーリングなど、さまざまな活動を行う時間を作ることだ。
「シンガポール近海を行き来するタンカーの周囲をヨットで航行していると、確実に仕事モードから頭を切り替えられる」とデイヴィスは言う。
1週間に数回は夕方に時間を作り、夫とハイキングに出かける。
Stephanie Davis
さらに、習慣づけている5つの「カレンダーマジック」も、多忙なスケジュールで心理的な余裕を保つのに大きな効果があるとのことだ。その内容を以下で説明しよう。
1:不必要なミーティングは、思い切ってやめる
自身のスケジュールを見直した結果、定例で行っていた部下との1対1の面談について、その一部をやめても良いことにデイヴィスは気づいた。
「私は人と会って、有意義な会話をするのがとても好きなので、やめる決断をするのはとても辛かった」とデイヴィスは振り返る。
「だが、こうした面談はたいていの場合、単なる情報交換の場と化していて、目標設定や優先順の見極めには役立っていなかった」
2:類似のタスクをまとめて「バッチ処理」する
「1日の決まった時間にメールに対応することにしたほか、朝や夕方に行っていた1対1の面談も、まとめていっぺんに済ませるようにした」
3:ミーティングの準備およびフォローアップの時間を確保する
「スケジュールを見ていて、例えば顧客とのアポイントメントがある場合、その予定時間だけを記していたことに気づいた。そうではなく、『どのような準備が必要だろう?』『アポイントメントやフォローアップを実り多い時間にするためにはどうしたらよいだろう?』という問題意識を持つべきだった。そう考えることで、成果は大きく違ってくる」
4:ミーティングの形式を見直す
「ビデオ会議でなければならない理由はあるだろうか? 自分は散歩しながら、スマホから話してもよいのではないか。さらに言えば、ミーティングの主催者として最も適任な人物は自分だろうか、と考えた」
5:セルフケアの時間をスケジュールに組み込む
「オフィス勤務をしていたころは、ミーティングの合間に3分間の休憩を組み込み、周囲を歩き回ることにしていた。これが手っ取り早い気分転換になった。オフィスの外に出て深呼吸をするだけの、とても短時間の休憩だったが、スケジュールに書き込んでおかないと、これくらいの休憩も取れないことに気づいた」
メンタルヘルスについて、安心して話せる環境を作る
自身が統括する東南アジア地域の従業員に対して、デイヴィスは、メンタルヘルスやより広範にわたる心身の健康について「安心して話せる場所」を作ることに腐心している。定例の1対1の面談の席でこうした機会を設けることも多く、その際にはしばしば、自身が感じていることを打ち明け、話しやすい雰囲気を作るという。
「やるべきことを多く抱えて、気持ちに余裕がない時は、そのことを部下に伝える」とデイヴィスは言う。「家族に会えなくて寂しい、という気持ちも率直に話す」とのことだ。
デイヴィスは可能な限り、1日の始まりにヨガを行うことにしている。
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最近になって、デイヴィスをはじめとする東南アジア地域のグーグル幹部は、より大局的に見た優先事項に集中し、それぞれがセルフケアの時間を確保するために、チームメンバーに対して優先順位を下げられる目標を設定するように促す実験的な取り組みを始めた。
「私自身も、年間計画を立てる時間を確保するため、今後数カ月はマネジメント関連のミーティングを減らしたいという意向をチームに示した」とデイヴィスは言う。「また、ディープ・ワーク・タイム(大事なことに集中する時間)を確保して、日曜の夜は完全な自由時間にしたいと申し出た。この時間を利用して、セーリングで使うロープの結び方を覚え直したい。アメリカに住む友人たちとも、久しぶりに話ができるかもしれない」
(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:Toshihiko Inoue)
自分の時間を生み出す「5つのマジック」…グーグル幹部が伝授する「燃え尽き」防止策 - Business Insider Japan
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