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2016年ごろからよく耳にするようになった働き方改革。その適応範囲は広く、長時間労働の是正、コンプライアンス違反の防止といった「守り」の部分もあれば、業務の効率化、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進といった「攻め」の部分もあります。
ですが、現状は残業時間制限や有休取得奨励など労働時間に上限を設けるアプローチがほとんどで、「業務の変革」にはまだ遠いと感じます。DXを実現するためにも業務の見直し、効率化は必須といえますが、多くの企業が取り組みの道半ばで頓挫しているのではないでしょうか。
本連載は、こうした停滞した状況を変える「データ主導型(データドリブンアプローチ)の業務改革」を実現する方法について解説します。第1回となる本稿は「変われない現場」と題し、業務の現状把握が進まない理由と問題解決の手助けとなる「ワークログ」について説明します。
個別最適化が現場の疲弊を引き起こす
当社MeeCapは、データドリブンアプローチによる企業の業務改善を支援しています。そのため、さまざまなお客さまから業務プロセスに関する相談を受けます。
中でも「アンケートやヒアリングを実施して業務改善を進めたのに現場に受け入れられない」「ツールやサービスなどのソリューションを導入したのに業務が改善されない」といった相談が多いと感じます。こうした悩みの原因としてよくあるのが、業務改善が個別最適化しているケースです。
当社のお客さまに「ペーパレスのソリューションを導入し、営業がクライアントからもらう契約書はデジタル化できたが、契約を処理する部門の業務が対応していない」という悩みを抱えている方がいらっしゃいました。せっかくデジタル化によって業務改善をしようとしたのに、その恩恵が特定の部門しか受けられないといった状況です。
この例でいうと、契約を処理する部門は「紙の契約処理」に加えて「デジタルの契約処理」という業務が増え、さらに「デジタルの契約書の必須項目が埋まっているか」をチェックする業務も増えました。本来、契約書がデジタルであれば機械的にチェックできるはずですが、契約処理システムが紙の契約処理にしか対応していないため、「デジタルの契約書を印刷して目でチェックし、契約処理システムにスキャンして取り込む」といった作業が必要になったのです。
これは極端な例だとは思いますが、特定の部門で導入した施策が連携する他部署に追加の業務を生み、さらなる現場の疲弊を引き起こす、そんな「ゆがみ」がさまざまな現場で発生しているのではないでしょうか。このような現状業務の理解を踏まえていない「個別最適化のパッチワーク」が生産性改善の壁になっています。
「アンケート」と「ヒアリング」だけでは業務を把握できない理由
こうした“ゆがみ”を発生させないためには、現状の業務とその影響範囲をしっかり把握する必要があります。ただ、この「現行業務の調査」は従来の業務改善手法において、最初にして最大の難関といえます。
こうした調査では「アンケート」と「ヒアリング」がよく使われますが、これらの手法には「正確な現行業務の把握」を阻む幾つかの課題があります。
アンケートはそもそも項目の設計に時間がかかります。その上、回答者が設問をどう解釈するかによって回答がぶれたり、中庸的な回答しか得られなかったりと「参考にならない回答が集まりやすい」という特徴があります。
ヒアリングは聞く側のスキルに加えて、聞かれる側によって結果が大きく変わってしまうという課題があります。それ以外にも「『声の大きい人』にヒアリング結果が左右されてしまい、ヒアリング結果の客観性が疑わしい」「ヒアリングをされる側が業務をうまく説明できない」といった課題もあります。
どちらの手法も準備や調査に時間がかかるため、対象業務の繁忙期が過ぎてしまい、業務改善の効果が薄れてしまうこともあります。私が聞いた話では「半年をかけて大規模なヒアリングを実施したが、その間に業務が変わっていた」「ヒアリングしている途中でプロジェクトオーナーが異動になり、企業の方針自体が変わってしまった」といった企業もありました。
現行業務の把握を阻む「業務のアウトソーシング」
現行業務の把握を困難にしている要因は他にもあります。それは「業務のアウトソーシング」です。
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