
仕事中の身体活動量が多い人も、健康のために行う運動は、仕事とは別に行った方が良いかもしれない。身体活動に関する現行のガイドラインは、余暇時間の運動と仕事上の身体活動を区別していないが、新たに発表された研究によると、健康への影響は両者等しいとは言えないようだ。
この研究の詳細は、「European Heart Journal」に4月9日掲載された。論文の筆頭著者である、デンマーク国立労働環境研究センターのAndreas Holtermann氏は、「余暇時間の身体活動が健康に良い一方、肉体労働は疲労を招き、心拍数と血圧を上昇させる。この現象は以前から『身体活動のパラドックス』と呼ばれていた」と、研究の背景を解説する。
Holtermann氏らの研究は、デンマークの20~100歳の一般住民10万4,046人を対象とする疫学調査のデータを用いて行われた。余暇時間と職業上の身体活動レベルを、自己申告に基づいて「低値」「中等度」「高値」「極めて高値」の4群に分け、10年間(中央値)追跡。追跡期間中に7,913件(7.6%)の主要心血管イベント(MACE)と9,846人(9.5%)の全死亡が記録されていた。
MACEや全死亡リスクに影響を与え得る因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒習慣、血清脂質、血圧、糖尿病、婚姻状況など)で調整後、余暇時間の身体活動レベルが低値の群に比較し、中等度以上の群は全て、MACEのリスク低下が認められた〔身体活動レベルが中等度群のハザード比(HR)0.86(95%信頼区間0.78~0.96)、高値群HR0.77(同0.69~0.86)、極めて高値群HR0.85(同0.73~0.98)〕。その一方で、職業上の身体活動レベルについては、低値群に比較し高値群以上ではMACEのリスク上昇が認められた〔高値群HR1.15(同1.04~1.28)、極めて高値群HR1.35(同1.14~1.59)〕。
これと同様の関係が、全死亡に関しても認められた。具体的には、余暇時間の身体活動レベルが低値の群に比較し、中等度以上の群は全て、全死亡のリスク低下が認められた〔中等度群HR0.74(同0.68~0.81)、高値群HR0.59(同0.54~0.64)、極めて高値群HR0.60(同0.52~0.69)〕。また、職業上の身体活動レベル低値群に比較し高値群以上では、全死亡のリスク上昇が認められた〔高値群HR1.13(同1.01~1.27)、極めて高値群HR1.27(同1.05~1.54)〕。
この結果を基にHoltermann氏は、「何かを変えなければならない。労働者が仕事で疲れ切ることなく、疲労回復に十分な時間を確保でき、余暇には健康増進のための身体活動を行えるようにしていかなければならない」と語っている。
本研究には関与していない心臓病専門医も、余暇時間の身体活動が心臓の健康を促進する一方で、職業上の身体活動は有害な可能性があるという考え方に同意を表している。その一人は、米メンズヘルスボストンのEvan Appelbaum氏だ。同氏は、「一般的に余暇時間の身体活動は持久力を養うタイプの運動であり、心血管の健康を促進し、致命的な心臓発作のリスクを減らす。しかし職業上の身体活動は十分な休息と回復のための時間を確保できず、健康リスクを軽減しないばかりか、炎症などによるダメージを来してリスクを高める可能性がある」と解説している。
また、米ノースウェル・ヘルス、サンドラ・アトラス・バス心臓病院のGuy Mintz氏は、「運動の機会が仕事のみであるなら、それは心臓の健康のために十分ではない」と述べるとともに、今回の研究結果について、「労働者が平日に定期的な運動を行えるような環境づくりを、企業に働きかけるデータとして活用できる」と評価している。(HealthDay News 2021年4月13日)
https://consumer.healthday.com/4-12-physically-act...
職業上の身体活動は余暇時間の運動のように健康的ではない - HealthDay
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