コンピュータのデータを人質に取って身代金を要求する「ransomware」の被害が止まらない。米国や欧州では病院が次々に狙われて患者の診療ができなくなり、人命にかかわりかねない事態も起きている。
Ransomware scrambles data, and it can only be unscrambled if the target pays the attacker a sum of money. (Voice of America)
ランサムウェアはデータを暗号化する。狙われた者が攻撃者に一定額を支払わない限り、データ復元はできない。
ransomware(ランサムウェア)はコンピュータに悪さをするsoftwareの一種。そうした悪者ソフトウェアを総称する「malware」(マルウェア)という単語は、soft-wareの「soft」の部分を「mal(悪い)」に入れ替えてつくられた言葉だった。
このmalを、身代金を意味する「ransom」に入れ替えたのがransomware。日本のメディアは「身代金要求型マルウェア」「身代金ウイルス」と呼んだりもする。
特に今、猛威を振るっているransomwareの「Ryuk」は、漫画「DEATH NOTE」に出てくる死神リュークに由来するらしい。Ryuk以外にも、かつて「Mirai」というマルウェアが史上最大規模のサイバー攻撃を引き起こしたり、Miraiと勢力を争う「Hajime」が出現したりと、日本語を使ったマルウェアは何かと目立つ。日本人が絡んでいるのかどうかは分からないけれど、この世界にはそれだけ日本の漫画やアニメ好きが多いということか。
話がそれたけれど、ransomwareのほかにも、コンピュータにこっそり忍び込んで情報を盗み出す「spyware(スパイウェア)」、ウイルス対策に見せかけてユーザーを脅す「scareware(スケアウェア)」、迷惑な広告を表示させる「adware(アドウェア)」など、マルウェアはさまざまな手口を使って攻撃を展開する。マルウェアではないけれど、PCやスマホにプリインストールされている無駄なソフトウェアは「crapware(クラップウェア=ごみソフト)」「bloatware(ブロートウェア=肥大化ソフト)」とも呼ばれる。
ところでこの「-ware」の部分は、PC関連に限らずいろんなものにくっつけて総称として使用できる。Cambridge Dictionaryによると、-wareは「used, especially in stores, to refer to objects of the same material or type:(特に店舗で、同じ素材や種類のものを称して使われる)」。
例えば日用品店に行くと、「kitchenware(キッチン用品)」「glassware(ガラス用品)」「tableware(テーブル用品)」などの売り場がある。そうした商品を販売している店は「hardware store」と呼ばれる。
日本語でハードウェアというと、PCやサーバやルータといったコンピュータ機器を思い浮かべるかもしれない。けれど英語のhardwareはもっと幅が広く、金属品や道具や工具なども含まれる。hardware storeは主にそうした日用品や住宅設備用品を販売する店のこと。日本語でいえばホームセンターが当てはまる。
ransomwareのようなマルウェアも、闇サイトの販売店で売買されているらしい。悲しいことに、被害者から巻き上げた身代金で潤って、そうした商売が繁盛する悪循環が続いている。
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