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「通信サービス利用動向調査」から見る、通信業界の市場シェア変化 - MMD研究所

【目次】

■ 2017年からの比較、2020年の通信業界の市場シェアの変容
  ―大手4キャリアは87.1%から77.5%へ、サブブランドは4.7%から10.2%、MVNOは8.3%から12.3%へ

■ 格安SIMと各MVNO事業者の認知状況は?

■ 大手4キャリアユーザーはポイント重視?
  ―通信環境と同程度にポイント重視傾向

■ まとめ―今後の通信業界の動き




■ 2017年からの比較、2020年の通信業界の市場シェアの変容
  ―大手4キャリアは87.1%から77.5%、サブブランドは4.7%から10.2%、MVNOは8.3%から12.3%へ



2020年の通信業界の大きな変化として、4月8日に楽天モバイルが第4のキャリアとしてサービスを開始したことが記憶に新しいかと思います。月々料金一律2,980円を掲げてキャリア参入をした楽天モバイルですが、300万名まで1年間通信料金が無料と発表して大きな話題となりました。
直近では、10月からUQ mobileがKDDIに移管されたことで正式なキャリアサブブランドになり、通信の市場シェア構造に変化が見受けられます。

4社目の事業者として楽天モバイルが新規参入することで、今後の市場競争の進展が期待されていますが、現状の2020年の通信業界の市場シェアはどうなっているのでしょうか?
MMD研究所では、長らく通信業界の利用動向調査を発表してきました。2020年11月4日にリリースした「2020年11月通信サービスの利用動向調査」の結果から、現時点での通信業界の状況をお伝えします。

本ブログでは、docomo、au、SoftBank、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)の4サービスを大手4キャリア、Y!mobileとUQ mobileの2サービスをサブブランド、それ以外の自社回線を持たない事業者をMVNOとして記載していきます。
※楽天モバイルにてRakuten UN-LIMIT以外で通信契約を結んでいる場合は、MVNOの楽天モバイルとしてデータを取り扱っております。

まず、2017年9月の通信業界市場はどうなっていたのか振り返ってみましょう。
2017年時点のメインで利用している携帯電話・スマートフォンでのシェア状況をみると、docomoが33.4%、auが29.8%、SoftBankが23.9%と3社で87.1%と約9割近くの市場シェアを占有しておりました。

最新の調査データを見てみるとメインシェアは、docomoが34.9%、auが24.6%、SoftBankが15.5%、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)が2.5%と大手4キャリアで合計77.5%でした。
キャリアサブブランドのシェア状況を見ると、Y!mobileが7.2%、UQ mobileが3.0%であったため、docomo、KDDI、SoftBankの3社で85.2%と、現在も変わらず3社の寡占状態が続いています。

「携帯料金を安くしたい、節約したい」という言葉自体はよく耳にします。昨年では携帯電話解約時の高額な違約金を廃止し、1,000円へする等のテコ入れや、総務省が10月27日に発表したアクション・プランでは「(乗り換え先でも)現行のキャリアメールを継続利用できるようにする」など、乗り換え時の障害となりそうな点の改善を国としても模索しています。

乗り換えがしやすい環境が整いつつある中で、なぜ大手4キャリアを利用しているユーザーはMVNOに移行しないのでしょうか?


■ 格安SIMと各MVNO事業者の認知状況は?



お恥ずかしい話ですが、筆者自身は3年ほど前にMMD研究所に入社するまで、格安SIMという用語そのものを聞いたことがありませんでした。仕事を通して格安SIMへの理解を深めていきましたが、一般の人はどれくらい格安SIMという用語を認知しているのでしょうか?

格安SIMという用語への認知から利用状況を聞いたところ、全く知らないと答えた人は15.1%で、聞いたことがあると回答した人は84.9%にのぼります。以下のグラフにて詳細な認知から現在利用状況を載せておりますが、昨今では「格安SIM」という用語への聞き覚えは8割以上がある。という結果になりました。

格安SIMという用語そのものの認知度は8割以上と高い結果になりました。みなさまは大手4キャリア以外の通信事業と聞かれたときに何社ぐらい思い浮かべることができますでしょうか?各MVNO事業者別でのサービス認知状況も聴取しておりますので、データをみていきましょう。

ここでは、現在サービスの新規受付をしているMVNO事業者の内シェア上位6社を抜粋してご紹介いたします。各サービス別での認知状況を聞くと「LINEモバイル」が69.7%、「イオンモバイル」が55.4%と健闘しているものの、残り4社に関してはサービスの認知度が3割~4割程度という結果になりました。
大手4キャリアのサービス認知状況はdocomoが94.5%、auが94.0%、SoftBankが93.5%、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)が78.0%となるため、4キャリアと比較するとMVNOの認知度は決して高くはないということがわかりました。

みなさまは何か新しく契約事をする際に、何となく聞き覚えがある会社や知名度が高い会社の中から選んでしまった経験はございませんか?

「携帯料金を安くしたい、節約したい」といった需要がある。「格安SIM」という言葉の聞き覚えがあっても各MVNOへの移行を検討していなかったり、意欲的に通信サービスの乗り換えを考えていなかったりするのは、内容を理解していない事はもちろんのこと、「サービス名に聞き覚えがない」という点が大手の通信キャリアから乗り換える際のハードルになっているのかもしれませんね。


■ 大手4キャリアユーザーはポイント重視?
  ―通信環境と同程度にポイント重視傾向



「料金が高い」とよく言われる大手の通信キャリアのサービスですが、現在大手4キャリアを利用しているユーザーはどういう事にメリットを感じていて契約しているのでしょうか?

大手4キャリア別で内訳を見ていくと各キャリアユーザーで特徴が現れました。
docomoやauは「通信環境に関連すること」が、SoftBankでは「ポイント」が、楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)では「料金に関連する事」が契約している通信会社へ感じる利点の上位となりました。

今年からキャリアになった楽天モバイル(Rakuten UN-LIMIT)では一律2,980円という分かりやすいプランや、現在行われている300万名限定での1年間通信料金無料キャンペーンがユーザーに好評であることが伺えます。また、各通信事業者別に見ても通信エリアや品質と同じくらいサービス会社の「ポイント」を利点に感じていることがわかりました。通信キャリアが提供するポイントサービスの魅力が、乗り換えを防止する大きな一手になっているのかもしれません。

筆者自身も長年某キャリアのモバイル回線を契約しています。家族で元々契約しているからという理由もありますが、同キャリア系列の関連サービスを複数利用しているため、携帯料金を安くしたいという要望はあれど、乗り換えを具体的に考えておりません。

調査結果では、通信の安定性や品質と同じくらいポイントに利点を感じているというユーザーの回答がありました。みなさまが想定されているよりも、「キャリアの関連サービスを利用しているから乗り換えしたくない」でしたり「ポイントが多くもらえることが魅力的」と感じる、いわゆる囲い込みをされているユーザー数は多いのかもしれませんね。


■ まとめ―今後の通信業界の動き



今回定点で取っている通信サービス利用動向調査の結果より、通信業界のシェア構造をみてきました。
2017年と比較するとau、SoftBankの2サービスがシェアを落としているものの現状はキャリアサブブランドであるY!mobileやUQ mobileが受け皿になっていることが分かります。格安SIMというワードは広まりましたが、MVNOもサービス別で認知を見ていくとまだまだ低いのが現状です。今後の通信市場の競争活性化には改めて「MVNOも名の知れた企業が展開しており、安心したサービスである。」というユーザーイメージを作っていく必要があるのではないかと考えます。

MMD研究所では2020年変容を見せる通信業界の動向を追っており、直近でもここ半年間での通信サービスの乗り換えに関する調査等の発表を控えております。変化の兆しがみえる通信業界について何かお困りごとやご相談事等ございましたら、お気軽にお問い合わせ窓口よりご連絡くださいませ。

<本ブログでの使用調査>
2020年11月通信サービスの利用動向調査
2020年11月大手4キャリアの満足度調査
2020年11月キャリアサブブランドの満足度調査
2020年11月MVNOの満足度調査

※本調査レポートは小数点以下任意の桁を四捨五入して表記しているため、積み上げ計算すると誤差がでる場合があります。
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