セ・リーグ 阪神4-5巨人 ( 2020年10月23日 東京ドーム )
阪神は23日の巨人戦で11年ぶりの5失策を犯し、4―5で敗れた。ジェフリー・マルテ内野手(29)が一塁手ではプロ野球ワースト新記録となる1試合4失策。終盤の反撃も遅きに失した。矢野燿大監督(51)にとっては宿敵の優勝を少しでも遅らせるどころか、自滅に近い屈辱的な黒星。24日に負けるか引き分けで、優勝の可能性が完全に消滅する。
敗因は明らかだった。開幕から106試合目。今季の集大成?のように守備が乱れに乱れた。優勝目前の宿敵に対して一矢を報いるどころか自滅。結果的には1点差の惜敗でも、矢野監督は珍しく怒りをあらわにした。
「それ(終盤に反撃した)にしても…。(野手が)足を引っ張りすぎだわな。ホームラン以外、全部(の失点は失策絡み)でしょ? 勝てるわけない」
2試合連続で一塁起用したマルテが想定外の拙守を連発した。1点を先制された2回1死二塁では田中俊の一ゴロを前にはじき、慌ててボールを拾い上げて試みた一塁への背面トスも大きくそれた。ボールが一塁ファウルゾーンを転々と転がる間に二塁走者が生還。記録は珍しい「ダブルエラー」が付いた。
「簡単なミスというか難しい打球じゃないんでね。本当に。あまりにも……」
指揮官も思わず言葉を失った拙守は止まらなかった。1死一、三塁からは今村の試みた一塁へのセーフティースクイズを捕球できず失策。一塁手の1イニング3失策はセ・リーグ初だった。悪夢は続いた。5回無死三塁から松原の一ゴロを再び前にはじき、一塁手の1試合4失策はプロ野球史上初の珍事となった。
負の空気は伝染した。5回無死一塁から吉川尚の二盗を阻止しようとした梅野の二塁送球が高くそれ、一気に三塁への進塁を許した。マルテの4失策と合わせて11年ぶりの1試合5失策。今季79失策を数え、143試合換算なら昨季102失策を上回るペースに乗った。
「それ(西勇の懸命な姿)を野手が感じ取ってほしいよね。(明日へ向けては)言いようがないわ」
王者との実力差を露呈し、貯金も8日ぶりに失った。最短で、24日にも優勝の可能性が完全に消滅。猛虎に落ち込む時間は残されていない。 (山本 浩之)
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