世界自然遺産、知床。半島の大部分は、トドマツやミズナラなど針葉樹と広葉樹が混ざる原生林です。
この豊かな自然が広がる地域には、上空から見ると、緑の濃さが異なる帯になった木々や薄い緑が広がる場所などが“パッチワーク”を描いているところがあります。
「しれとこ100平方メートル運動」の運動地です。
斜里町岩尾別地区では大正から昭和にかけて、農業や畜産のために開拓が行われましたが、厳しい自然に阻まれて断念。畑などの開拓跡地が無残に残されました。
その広大な跡地に本来の自然を取り戻したいー。
昭和52年(1977年)、「しれとこ100平方メートル運動」が始まりました。
900ヘクタールもの広大な開拓跡地に1本1本木々を植樹してきました。
なかでも針葉樹のアカエゾマツは、荒れた土地でも育ちやすく、手に入りやすいため植樹の木に選ばれました。
運動の初期、昭和55年(1980年)ごろに植えられたアカエゾマツは、今では10メートルもの高さになりました。
運動地で整然と並ぶその木々は、ゼロからはじめた運動の“成長の証し”でもあります。
ただ、運動はすべてが順調に進んだわけではありません。
多様性のある森を目指して植えたシラカバなどの広葉樹は、育ちませんでした。
間近にそびえる山々から吹きおろす強く冷たい風が成長を妨げました。
さらに、エゾシカの食害も。
1980年代中頃から増えすぎたシカが苗木や木の皮を食べてしまったのです。
その結果、広葉樹が育たなかったところではササが一面に広がってしまいました。
運動地のところどころに広がるササ地は、厳しい自然と戦い苦悩した運動の姿を記憶にとどめます。
15年前から運動に参加し、現在は森づくりの中心的な役割を担う知床財団の松林良太さんは「シカとの戦いがこの20年くらい知床では続いた。1万本、2万本の単位で最終的には食べられてなくなった。それも自然の力ではあるが、当時の皆さんは大変だったと思う」と話します。
そして今、運動地では新しい動きが始まっています。
植樹されたアカエゾマツの間に1本の“道”が切り開かれています。
日当たりをよくするために、木々を2列分、伐採したのです。
ことし5月、ここにミズナラやハルニレなどの広葉樹の苗木が植えられました。
大きく育った針葉樹を利用し、広葉樹の苗木を風から守ります。
運動が築きあげた成果を、次の世代の木が育つ糧にする取り組みです。
知床財団の松林良太さんは「運動はまだ始まったばかり。本当のゴールは100年、200年先になる。今できることを1つずつ積み重ねて、それを世代を超えて引き継いでいくことが一番の仕事と思っている」と話しています。
「しれとこ100平方メートル運動」の運動地では、これまでに46万本もの苗木が植えられてきました。
時代に応じて模索を続けてきたこの運動地で木々は着実に成長し、未来へとつながっています。
(取材・北見放送局 住田達カメラマン)
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August 26, 2020 at 05:17PM
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