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北九州ゆかりの児童書ずらり 大正から現代まで 市立文学館で企画展 - 西日本新聞

 新型コロナウイルスの影響で子どもたちも家で過ごすことが増える中、北九州市立文学館(小倉北区)は「自宅で読書を楽しめるように」と、地元にゆかりのある作家や作品の児童書を集めて企画展を開いている。児童文学黎明(れいめい)期の歴史をたどったり、ヒット作と地元出身俳優とのつながりを紹介したり。「作品は大正から現代まで幅広く、子どもも大人も楽しめる」と同館は来場を呼び掛けている。11月1日まで。

アニメ化の「おでんくん」も紹介

 企画展は「今読みたい!私たちのまちの児童文学」と銘打ち、文学館に収蔵してある絵本や小説、直筆の原稿など75点を並べた。企画した同館学芸員の小野恵さんによると「北九州の児童文学の歴史を追うことができる」のが見どころだ。

 日本の児童文学の始まりは童話集「赤い鳥」が創刊された1918年(大正7年)にさかのぼる。創作運動の波は北九州にも届き、詩人で童話作家の阿南哲朗らが26年、「小倉児童芸術協会」を結成。寺院や教会で「口演童話」や児童劇を行い、子どもたちが気軽に文学に触れるようになる。

 戦後は全国で児童文学雑誌の刊行が相次いだ。北九州では、「子どもたちの希望の旗印にしたい」と同人誌「小さな旗」(3号からは「小さい旗」)が55年に創刊された。初期メンバーには、八幡市(現・八幡東区)出身のみずかみかずよ(故人)も。掲載した多数の作品は小学校の国語教科書にも採用され、全国区の詩人となった。

 「地元との意外なつながりを発見できるのももう一つのおすすめポイント」と小野さん。「くまの子ウーフ」(1969年刊行)の作者・神沢利子さんは戸畑市(現・戸畑区)出身だ。動物文学の分野を確立した「高安犬物語」の作者戸川幸夫(故人)は10歳まで北九州に暮らし、幼少期から動物好きだったという。両作とも、小学校の国語の教科書に採用された。

 最近では、2005年からテレビアニメ化もされブームになった「おでんくん」。生みの親は俳優としても活躍する小倉北区生まれのリリー・フランキーさんだ。坪田譲治文学賞の受賞歴があるまはら三桃(みと)さんは北九州が舞台の青春小説を複数出版している。

 会場には直筆の原稿など創作の跡が分かる資料があり、幼い頃手にした本の思わぬ歴史を知ることもできる。小野さんは「親子で訪れて児童文学を楽しんで」と話している。

 午前9時半~午後6時(月曜休館)。料金は一般240円、中高生120円、小学生60円。同館=093(571)1505。 (壇知里)

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August 30, 2020 at 04:02AM
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