
職場内クラスター
2020年6月24日の東京都の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)新規感染者数は55人。小池都知事は、この数字には職場内クラスターが含まれるとコメントしました。職場内クラスターとは、”普通の会社”において複数の社員が感染する事例を指すようです。最近はクラスターと言えばもっぱら病院やクラブで起こるものというイメージが定着している感がありますが、人が集まる場所ならどこででも、条件さえ合えば、クラスターは起こり得ます。
筆者は日ごろ病院で院内感染を防ぐ仕事をしています。幸い今のところは抑えられていますが、COVID-19は無症状の時期に感染性が出現するというやっかいな特徴のある感染症ですから、クラスターの予防は本当に難しいと感じています。ただ、やれることはいくつかあります。今回は病院でのクラスター予防の経験と、いくつかの資料(文末に記載)をもとに、企業で職場内クラスターの発生を防ぐために推奨される対策を箇条書きでご紹介します。
企業における”職場内クラスター”予防策
1. 予防のための体制
- COVID-19に関する情報収集、予防を行う上での課題と対策、発生時の対応等について検討する体制(部門あるいは会議体)を整える。
- 企業の長は上記で検討した内容を把握し、迅速に必要な支援および指示を行う。
- COVID-19について職員が相談可能な窓口を設け、中立的かつ非懲罰的な対応を行う。
2. 個人が行う感染予防と環境衛生
1)手指衛生
- 適切な方法とタイミングで手指衛生を行う(こちらを参照)
- 仕事中になるべく眼・鼻・口に触れない習慣を身に着ける
2) 個人防護具
3) 環境消毒
- 高頻度接触環境表面を1日1回以上、界面活性剤(洗剤)、濃度60%以上のアルコール、濃度0.02~0.05%の次亜塩素酸ナトリウムのいずれかを用いて拭き消毒する(こちらを参照)
- 消毒を要する高頻度接触環境表面(拭く場所)と頻度、方法、担当者等を具体的に決める(チェックリストなどを用いて消毒する場所を確認しながら実施日や担当者を記録に残すのもよい)
3. 感染者の早期発見と重症化予防
1) 健康管理
- 出勤前に症状チェックリスト(例えば下記)を使って健康状態を確認する
- 出勤時に体温測定を行ったり、症状(例えば下記)について自己申告をしてもらう制度を導入する
- 就業停止を必要とする症状(例:発熱や咳)を明確にする
- 医療機関を受診する手順を明確にする
- 軽微な症状(例:何となくだるい、のどに違和感など)が出現した場合の対応を明確にする ※例えば他の職員とマスクを外した接触は避け、症状が強くなったときは直ちに就業を停止するなど
- 体調不良のときに休暇を取得しやすい体制を作り、気兼ねなく申告できる文化を醸成する
- 体調不良の際の就業停止の期間や復職の条件について定める
- 職員が濃厚接触者となった場合の就業停止の期間や症状が出現した際の対応について定める
- COVID-19が疑われる職員が発生したときの対応について定める
- 必要時、産業医や保健所に相談する
症状チェックリスト(%は発生頻度)
発熱…64%
副鼻腔痛…50%
咳…46%
嗅覚障害…44%
痰…32%
鼻づまり…25%
悪寒…18%
だるさ…18%
のどの痛み…13%
頭痛…13%
息苦しさ…11%
関節痛・筋肉痛…10%
下痢…6%
嘔吐…3%
Barnes M and Sax PE. Challenges of “Return to Work” in an Ongoing Pandemic. DOI: 10.1056/NEJMsr2019953 をもとに著者作成
2) ハイリスク群への配慮
感染した場合に重症化しやすい年齢(目安として60歳以上)あるいは持病(高血圧、肥満、糖尿病など)のある職員は優先的に在宅勤務が選択できるようにするか、職場復帰の時期を流行がある程度治まったあとにずらすなどの配慮を本人と相談しながら行う
4. 人との接触機会を減らす対策
1) ソーシャル(フィジカル)・ディスタンシングと三密回避
- 可能な限り人と人との間隔を1メートル以上空ける
- デスクや会議室の座席の間隔を1メートル以上空けるか、座席の間にパーテーションなどの仕切りを設ける
- 安全な会議の開催方法を検討する(例えば、会議室の定員を定めたり、ウェブ形式での開催や、所要時間の上限について検討する)
- 多数の人が近距離でマスクなしの会話を行う可能性がある三密空間(休憩室、給湯室や食堂など)を洗い出し、三密を避ける対策(利用者数を減らす、利用時間をずらすなど)を講じる ←重要
- 熱中症予防に配慮しながら換気を行う
- 職場で開催するイベントや宴会の開催規定(開催の是非や開催する際の条件など)を定める ※基本的に職員どうしでの近距離での飲食を伴う会話はハイリスクと考える←重要
2) 在宅勤務や時差出勤
- 可能な場合は在宅勤務を選択する
- 公共交通機関が混雑しない時間帯に出退勤できるようなフレキシブルな勤務体制とする
- 自転車や自動車通勤を選択する職員のために駐輪場や駐車場の利用を容易にする
- チーム制を導入して勤務時間帯をずらすことや、1日の就業時間を短縮するなどの工夫を行う
3) 都道府県間の移動や海外渡航に関する規定を設ける
- 業務に関連する移動については、必要不可欠な場合に限るなどの規定を設ける
- 海外出張を行う場合の出国時、帰国時、滞在中の注意事項について定める
5. 職員教育
1~4について職員に対して定期的に指導や研修を行う。
ここでご紹介した対策については雇用形態に関わらず、企業で働くあらゆる人が標準的に実施することが勧められます。COVID-19の感染予防には、職員1人1人が自主的に行動様式を変えることが求められます。行動が変化し、定着するには、少なくともそのことによって職員が不利益を被らないようにすること、そして、不利益を被らないということを職員が知っていることが大切です。また、これらの対策の”やり方”には100点満点の正解はありません。関係者とフランクな意見交換をしながら、企業に合う現実的なやり方を模索し、時間をかけて定着させる努力が必要になります。
参考文献
"どのように" - Google ニュース
June 25, 2020 at 06:01AM
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新型コロナ:職場内クラスターをどう防ぐ?(坂本史衣) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
"どのように" - Google ニュース
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