ハリタ金属・三協立山・JR東海・日本車両製造・日立製作所のリサイクルシステムで「車両から車両へ」を実現
2020年7月に営業運転を開始する東海道新幹線の新形式車両「N700S」に、廃棄車両から回収・再生したアルミニウム(Al)合金材が採用された(図1、ハリタ金属のニュースリリース、三協立山のニュースリリース)。JR東海と日本車両製造、日立製作所、ハリタ金属(富山県高岡市)、三協立山が共同で実証した「アルミ水平リサイクル」の仕組みを導入したもので、再生Al合金材はN700Sの荷棚材に使った。高速鉄道の車両に水平リサイクル部材が実装されるのは「世界初」(ハリタ金属)という。
アルミ水平リサイクルシステムは、レーザーを利用した成分分析技術「レーザー誘起ブレークダウン分光法」(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)によるLIBSソーティングによって実現した。ハリタ金属のLIBSソーター装置で、細かく破砕した金属混合物をコンベヤーに載せて移動させながら連続的にレーザーを照射し、合金の種類を識別・選別する。従来のカスケードリサイクルが2度の溶解工程を必要とするのに対して、新システムではLIBSソーティングによる固体での選別後に溶解するため、1度の溶解で済む。
これにより5社は「新幹線から新幹線へ」「展伸材から展伸材へ」という、いわゆる水平リサイクルシステムを構築。ハリタ金属が新幹線の廃棄車両から選別・抽出したAl合金を三協立山の奈呉工場(富山県射水市)と新湊東工場(同)の設備で鋳造・押出成形し、N700S向けに供給した(図2、図3)。
鉄道車両では軽量化のためAl合金が多く使われるが、マグネシウム(Mg)を添加した5000系や、Mgとシリコン(Si)を添加した6000系などが使い分けられており、従来の技術ではスクラップ時の材料選別が難しい。リサイクル時に合金種が混ざっていると、押出材として強度や精度を満たすだけの再生Al合金材を造れず、自動車や鉄道車両への実用化は困難。これまでのリサイクルは、要求の緩い鋳物やダイカストへ再生材を適用する、カスケード利用にとどまっていた。
こうした課題に対して、再生Al合金材の高度利用を目指す取り組みが進んだ。ハリタ金属は、新エネルギー・産業開発機構(NEDO)の「アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業」における国内研究実証『「動静脈一体車両リサイクルシステム」の実現による省エネ実証事業』として、2016~2018年度にLIBSソーティングの研究に取り組んだ。同時に日本アルミニウム協会は、鉄道事業者や鉄道車両メーカー、リサイクル事業者、Al車両材メーカー、自動車メーカーで構成する「アルミ車両の水平リサイクル推進委員会」を設置し、LIBSソーティングにより抽出されたスクラップを受け入れるための規格を制定(日本アルミニウム協会のニュースリリース)。2019年6月、LIBSソーティングプロセス認証と再生材Al合金の規格書「日本アルミニウム協会規格:LIS AT6-2019」(アルミニウム合金製鉄道車両水平リサイクル)を発行した。
5社は今後、アルミ水平リサイクルシステムと技術の高度化を図り、適用部材の拡大を目指す。今回の事業は主にAl合金をリサイクルの対象としているが、LIBSソーティングは鉄や銅といった他の資源への応用も可能なため、システムやリサイクル技術を他の素材や使用済み製品にも展開できる見込み。ハリタ金属はこのシステムを「将来の大きな循環経済(Circular Economy)の構築につながる」と位置づけている(図4)。
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June 19, 2020 at 12:50PM
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新幹線廃車から回収したAl合金材を新型「N700S」に再利用 - ITpro
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