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「iPhone SE(第2世代)」は7や6sからどれだけ進化した? 使い勝手や性能を比較した - ITmedia

 「iPhone SE(第2世代)」は、「iPhone 8」から2年半ぶりとなる、4.7型ディスプレイ搭載モデルだ。最新のiPhone11シリーズ並みの高い処理性能を実現しながらも、Apple Storeでの価格は4万4800円から(税別、以下同)と、スマートフォン市場全体で見てもお買い得な価格に設定されている。筆者もAppleのオンラインストアですぐに購入した。

iPhone SE Apple「iPhone SE(第2世代)」。現在、Appleのオンラインストアや量販店にてSIMロックフリーモデルを販売。ドコモ、au、ソフトバンクでも5月11日から販売されている

 現在「iPhone 8」や「iPhone 7」「iPhone 6s」「iPhone SE(第1世代)」などを使っている人や、家族向けに安価なiPhoneの購入を考えている人にとって魅力的なモデルだ。また、マスクを外さずにロック解除可能な指紋認証の「Touch ID」を理由に購入を考えている人もいるだろう。

iPhone SE 左から近年iPhoneの代表的なデザインを並べてみた。4型ディスプレイ(iPhone SE、5sなど)、4.7型ディスプレイ(iPhone 8、7、6s)、同じく4.7型のiPhone SE(第2世代)、6.1型ディスプレイ(iPhone 11、XR)、5.8型ディスプレイ(iPhone 11 Pro、XS、X)となる

 そこでこの記事では、実際に購入したiPhone SE(第2世代)をもとに、これまでのiPhone 8やiPhone 7、iPhone 6sと比較してどの程度快適で、お買い得感があるのかを紹介する。店頭での試用が難しい現状、iPhone選びの一助になれば幸いだ。

iPhone SE(第2世代)の基本仕様をチェック

 まずはiPhone SE(第2世代)の概要とデザインについて見ていこう。全体的な仕様は、2017年に発売されたiPhone 8をもとに、iPhone 11シリーズと同じ最新プロセッサの「A13 Bionic」を搭載した最新モデルという理解でいい。これに合わせて、カメラなどの仕様も改良されている。操作方法はホームボタンを搭載したiPhone 8以前のモデルと変わりない。

iPhone SEiPhone SE 全体の形状はiPhone 8とほとんど同じだ。なお、前面のガラスパネルはiPhone 8と微妙に形状が異なるため、ガラスフィルムを買う際はiPhone SE(第2世代)対応のものを購入しよう(写真=左)。背面はiPhone 8と同じくガラスパネルを採用しており、iPhone 7以前とは触感が異なる。AppleロゴはiPhone 11と同じく中央に移動した。このため、iPhone 8やiPhone 7向けケースのうち、ロゴを透かすデザインのものは似合わなくなっている(写真=右)

 従来モデルと同じく、IP67の防水・防塵(じん)、Suicaやマイナンバーカードを利用できるFeliCaやNFCといった機能にも対応。新たに、電源が切れても約5時間はSuicaなどを利用できる「予備電力機能付きエクスプレスカード」機能も搭載した。ワイヤレス充電Qiや、別売りの「USB-C - Lightningケーブル」とUSB PD対応充電器による急速充電も可能だ。

 完全な新機能として、iPhone 11シリーズと同じくnanoSIMとeSIMによるデュアルSIMでの利用にも対応している。

iPhone SE Suicaなどの非接触決済や、ワイヤレス充電に対応。新機能としてeSIMを含むデュアルSIMや、Wi-FiのIEEE 802.11axにも対応した
iPhone SE 防水にも対応。ボディーは厚さ7.3mm、重量148gと薄型軽量だ。現行のiPhone 11と比べてコンパクトで持ちやすい

 カラーはホワイトとブラック、(PRODUCT)REDを用意。配色はiPhone 11シリーズと統一されており、どのカラーも表側はブラックで、側面のアルミニウムフレームと背面のガラスパネル部分のカラーが異なる。旧式のインタフェースである、ホームボタンを目立たせる必要がないという意味合いもあるのだろう。

 価格はApple Storeだと64GBモデルが4万4800円、128GBモデルが4万9800円、256GBモデルが6万800円だ。ドコモやau、ソフトバンクでも近い価格で購入できる。安価かつ普段使いのiPhoneを購入する場合、128GBモデルはストレージ容量にも余裕があり勧めやすい。

iPhone SE 5WのACアダプターとLightningケーブル、Lightning端子に接続するイヤフォンが付属する

 では、ディスプレイやカメラなどの各機能について、従来のiPhoneとの違いをより深く見ていこう。

ディスプレイはTrue Toneで色味が良好、3D Touchは触覚タッチに変更

 4.7型の液晶ディスプレイ(828×1792ピクセル)は、新モデルの登場ごとにDCI-P3の広色域対応や明るさに関して改良が重ねられている。iPhone SE(第2世代)のディスプレイはiPhone 8からほぼ変化はないが、色の表現力については最新スマホと比べても高品質な部類といっていい。

 特に注目なのが「True Tone」だ。iPhone 8やiPhone Xの世代から標準搭載された機能で、周りの照明の色温度に合わせて画面の色温度を自動調節してくれる。この機能があれば、オレンジ色っぽい暖色の照明下で画面が青白く見えるといった状況を解消してくれる。

iPhone SE True Tone が有効だと、右の画面のように周りの照明に合わせて画面表示が最適な色温度に変化する。True Tone非対応のiPhone 7やiPhone 6sだと、暖色の照明下では左のように画面が青白く見えてしまう

 細かい機能だが、True Toneがなければいくらキレイな写真や動画を表示しても微妙な発色に見えてしまう。特にiPhone 7やiPhone 6sなどの利用者で写真や動画、ゲームの色合いに不満のある人は、この機能のためだけに買い替えをお勧めしたいほどだ。

 iPhone 8までに搭載されていた画面の押し込みを検知する「3D Touch」は、iPhone SE(第2世代)ではiPhone 11シリーズと同じく画面長押しの「触覚タッチ」に変更された。とはいえ、3D Touchの機能の多くはそのまま利用できる。文字入力キーボード上でのフリーカーソル移動操作も、空白キー長押しで利用可能だ。この変更についてはそこまで気にならないだろう。

ステレオスピーカー内蔵、Bluetoothや有線ヘッドフォン環境も充実

 内蔵スピーカーはステレオ仕様のものを搭載。大型のiPhone 11シリーズと比べると音の広がりはやや劣るが、それでもスマホの内蔵スピーカーとしては平均点以上の音質と音量を実現している。iPhone 6sやiPhone SE(第1世代)などのモノラルスピーカーと比べると、音楽や動画、ゲームアプリを快適な音で楽しみやすい。

iPhone SE 通話の受話スピーカー部と、底面にステレオスピーカーを搭載。音楽や動画、ゲームを迫力ある音で楽しみやすい。イヤフォン端子はないが、ワイヤレス製品が増えたので不便さはあまりない。有線のイヤフォンも、Apple製や他社製のアダプターを介して利用できる

 イヤフォン端子はiPhone 7以降と同じく省かれたままだ。とはいえ、2020年の現在はAirPodsをはじめ、Bluetoothワイヤレスイヤフォンが数多く販売されており、不自由さはあまりない。ゲームの遅延を気にする人や、有線で高音質なイヤフォンを使いたい場合、付属のLightning端子に接続するイヤフォンや、別売りのアダプターを使うことで解消できる。

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カメラ機能はiPhone 8よりやや上だが、iPhone 11には一歩及ばず

 アウトカメラは約1200万画素のものを搭載している。画素数はiPhone 6sから変わっていないが、iPhone SE(第2世代)は高感度センサーや、F1.8の明るいレンズ、光学式手ブレ補正を採用している。オートフォーカス速度や画像処理も含め、さまざまな部分が進化している。

iPhone SE カメラ部のデザインは従来のiPhone 8や7などとほぼ同じだ

 iPhone SE(第2世代)のカメラ機能は、スペック値ではiPhone 8のカメラに、より高品質なHDR処理「スマートHDR」や、人物撮影で背景をぼかすポートレートモードへの対応、動画のHDR撮影と音声のステレオ録音といった機能が追加されている。スペック上はiPhone XRに近い。

 そうは言っても、実際に撮らなければ違いが分からない。そこで、明暗差の激しい夜の路地という難しい条件で撮影してみた。

 iPhone SE(第2世代)はスマートHDRもあり、明るい部分の白飛びを抑えつつ暗所もギリギリ描写できている。iPhone 8の代わりに同世代のiPhone Xでも撮影したが、こちらはスマートHDR非対応だからか明るい部分が白く飛んでいる。iPhone 6sは古いモデルということもあり、全体が暗くノイズでディテールがつぶれている。

iPhone SE iPhone SE(第2世代)で撮影。スマートHDRのおかげか、手前の暗い建物の細部をギリギリ描写しつつ、奥のホテルもある程度白飛びを防いで描写できている
iPhone SE iPhone 8の代替として、同世代のiPhone Xで撮影。傾向はiPhone SE(第2世代)と同じだが、スマートHDR以前のHDRだからか、奥の建物(ホテル)や道路が白飛びしている
iPhone SE iPhone 6sで撮影。最近のモデルと比べ、レンズが暗くセンサーの世代が古い。さらに光学式手ブレ補正もないので、高感度撮影によるノイズで全体のディテールがつぶれている
iPhone SE iPhone 11で撮影。ナイトモードによる約3秒の撮影が有効になり、全体を実際の見た目よりも明るく鮮明に撮影できた。オフにすると、iPhone SE(第2世代)と似た描写になる

 ただ、iPhone 11シリーズと比べるとiPhone SE(第2世代)のカメラ機能は一段劣る。iPhone 11シリーズは流行の夜景モードに相当する「ナイトモード」を搭載しており、シャッター速度1〜3秒の手持ち撮影で暗闇でも明るく撮れる。比較でも左側の暗い部分を適度に明るく撮影できている。また、インカメラもiPhone 11シリーズは新しい約1200万画素のものを採用しており、iPhone SE(第2世代)含む従来の約700万画素インカメラより明るく鮮やかに撮影できる。

 カメラは旧モデルからiPhone SE(第2世代)に買い替えることで、画質の向上や撮影の幅の広がりを期待できる。ただ、カメラ画質を重視しての買い替えならiPhone 11シリーズも選択肢に入れた方がいいだろう。

最新「A13」搭載とメモリ増量で処理性能は文句なし

 前述の通り、iPhone SE(第2世代)のプロセッサには最新のA13 Bionicを搭載。これまでのどのモデルと比べても、高い処理性能を実現している。また、メインメモリもiPhone 8から6sまでの2GBから、iPhone SE(第2世代)では3GBに増加している。

iPhone SEiPhone SE Geekbench 5のテスト結果。最新のiPhone 11シリーズに匹敵するスコアだ(写真=左)。AnTuTu Benchmark 8.1のスコア。スマートフォン全体で見てもハイエンド級の性能を持つ(写真=右)

 これらの改善により、アプリの動作が高速になるのはもちろん、アプリの切り替え時に毎回アプリが再起動するといった不便さもかなり解消される。

iPhone SE 各世代の主なiPhoneの処理性能を、Geekbenchのスコアをもとに図示してみた。色付きのモデルは、現在Apple Storeやキャリアで購入できるモデルを示す。iPhone 6sやiPhone 7と比べると、iPhone SE(第2世代)は約2〜3倍の性能を実現している

 特にiPhone 7やiPhone 6の場合は、最新のゲームアプリはもちろん、SNSアプリなども機能の拡大により、普段の操作やアプリ切り替えなどで遅さを感じることが増えてきた。利用環境を快適にしたいなら、CPU性能で約2〜3倍の性能向上が期待できるiPhone SE(第2世代)への買い替えはお勧めできる。

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iPhone 7やiPhone 6s、iPhone SE(第1世代)からの買い替えをお勧め

 最後に、各モデルからiPhone SE(第2世代)買い替えの利点についてまとめておこう。

iPhone 8

 iPhone 8の場合、処理性能やカメラ画質などはある程度向上するが、実際の使用感で明確な差を感じられるほどの違いはない。まだ購入時の各種割引契約が続いている人もいるだろう。買い替えに関する制限が解けたら、その時発売中のiPhoneを含めた買い替え候補の1つとして考えればいい。

iPhone 7

 利用できる機能に限れば、iPhone 7とiPhone SE(第2世代)で大きな違いはない。ただ、処理性能に関しては大幅な差がある。よく利用しているアプリの動作が遅いと感じ始めたら、iPhone SE(第2世代)への買い替えを考えるといいだろう。金額重視ならiPhone SE(第2世代)だが、大画面やカメラ性能など機能面で明らかな違いが欲しいならiPhone 11シリーズへの買い替えをお勧めする。

iPhone 6s、iPhone SE(第1世代)やそれ以前

 そろそろ、各アプリの動作やバッテリー消費の速さなどで、性能不足を感じる人も増えてきたのではないだろうか。iPhone SE(第2世代)に買い替えれば、動作速度や画面の描画品質が向上する上に、防水やApple Payなどの機能も利用可能になる。

 今後、ホームボタンを搭載したiPhoneの投入はあまり期待できない。これから先も、今と同じ操作方法のiPhoneを長く使い続けたいなら、iPhone SE(第2世代)が安価に発売された今こそベストな買い替えタイミングだ。

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