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新型コロナ:都、11日から協力金支給 煩雑手続きに不満の声 - 日本経済新聞

東京都の感染拡大防止協力金の申請受け付け画面

東京都の感染拡大防止協力金の申請受け付け画面

東京都や大阪府などで、休業や時短営業の要請に応じた事業者への協力金の支給が始まる。各自治体は迅速な支給を掲げる一方、事業者に休業状況を示す写真や誓約書など複数の書類の提出や、税理士ら専門家の事前確認などを求めている。緊急事態宣言の期限延長で休業が長期に及び、資金繰りに苦しむ事業者は多く、手続きの迅速化を求める声があがる。

都の協力金の申請受け付けは4月22日から6月15日までで、5月11日から順次、支給する。金額は店舗数に応じて50万~100万円で、補正予算に960億円を計上した。

大阪府も、支援金の支給を12日に始める予定だ。4月の売り上げが前年同月比で50%以上減った事業者が対象で、個人事業主向けが50万円、中小企業向けが100万円。総費用は約402億円を見込む。

都も大阪府も、申請には申請書のほか、以前から営業していたことを示す確定申告書、休業や短縮営業の状況が分かる書類、休業が虚偽と判明した際に違約金を支払うことなどを記した誓約書などが必要となっている。

さらに都は、申請時に税理士や公認会計士ら専門家の事前確認を要請している。専門家の事前確認がない場合、「支給まで時間を要する場合がある」としている。

事業者側にとって煩雑な手続きとなっているようだ。都は約13万の事業者の申請を想定しているが、8日朝までの申請は約6万件にとどまる。コールセンターには7日までに約11万件の相談が寄せられ、担当者によると「自らが支払いの対象になるかどうかや、手続きについての問い合わせが多い」という。

都税事務所などに設置されている感染拡大防止協力金の申請書の投函(とうかん)箱

都税事務所などに設置されている感染拡大防止協力金の申請書の投函(とうかん)箱

東京都武蔵野市で飲食店を営む男性(67)は、普段から付き合いのある税理士の確認を経て申請したが、5月初旬に都の担当者から記入内容の修正や、休業証明の追加提出を求められた。「急いで対応したが、支給が遅れてしまうのでは」と不安をにじませ、「手続きは思ったより大変だった」と話す。

都内でライブハウスを経営する50代男性は4月下旬に申請した。家賃や人件費に月約300万円かかり「申請が受理されているのか、本当に振り込まれるのかも分からず不安で仕方がない。一刻も早く支給してほしい。非常時なのに都は対応が遅い」と話す。

専門家からは事前確認の難しさを指摘する声も上がる。税理士と公認会計士の資格を持つ市川恭子氏は顧問先の申請手続きの際、過去の帳簿などと申請書を対照し確認した。

ただ、市川氏は「顧問先以外の事業者をチェックするのは難しい」と話し、新規顧客の場合、過去の帳簿の精査や営業実態、休業状況を責任持って調べることは緊急事態宣言が出ている中では困難と指摘する。

元都副知事の青山●(にんべんに八の下に月)(やすし)明治大名誉教授は「税金から支出する以上、透明性や公平性の観点は必要な一方で、迅速に支給するために手続きが障害になってはならない。スピードとチェックを両立させながら実施するのが重要だ」と話す。

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