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「見えない」視覚障害者柔道の選手は どのように技を体得していくのか(webスポルティーバ) - Yahoo!ニュース

■TBSの高畑百合子アナウンサーが、パラスポーツの取材現場や、パラアスリートとの触れ合いを通じて、感じたこと、思ったことを伝えていくこの連載。今回のテーマは視覚障碍者柔道です。あらためて感じたパラアスリートのすごさとは?

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 BS-TBSの『アスリート夢共演』で、視覚障害者柔道の永井崇匡(たかまさ)選手とアテネオリンピック柔道100kg超級金メダリストの鈴木佳治さんが対談し、そのMCを務めました。永井選手は眼球の病気で2歳の時に失明。小学1年から柔道を始め、高校1年の時には視覚障害者柔道の全日本選手権で準優勝を果たします。階級は73㎏級で、日本を代表する柔道家です。

 視覚障害者柔道は健常と同じく、男女とも体重別の階級で試合を行ないます。組んだ状態から「はじめ」となるのが最大の特徴で、組み手争いがない分、試合開始直後から激しい攻防が繰り広げられます。そのほかのルールや技などは健常の柔道とほぼ同じ。

 そんな視覚障害者柔道に、「見えない」永井選手がどうやって取り組んできたのか、とても興味がありました。

 永井選手によると、柔道を"映像"として見たことがないため、小さい頃は柔道そのものがどんな競技かもわからないままやっていたそうです。どうやって技を知ることになったのかと尋ねると、「相手の身体や技の形を触って覚え、こんな感じかなと自分で技を出してみるところから」と答えていました。

永井選手の目標や憧れは「自分の場合、無意識の怖さからか体が硬くなって、反応が遅くなってしまうので、それを解き放った柔らかい柔道」。誰かの柔道を映像として見ていないから、「目標とするあの選手のように」「こういう技ができるように」ではないんですね。

 もちろん、永井選手は鈴木さんのことをオリンピックの金メダリストとして尊敬しているのですが、「憧れ」とは少し違う。なぜなら、自分が知っている「最高の柔道」とは、誰かとの比較ではなく自分でしかないからです。永井選手の言葉は、これまで取材させていただいてきたアスリートの方々の「憧れ」の感覚との違いを的確に表わしているなと思うと当時に、今の自分を超えた先の自分に憧れを抱くのだなと納得しました。

 また、永井選手のお話を聞いてすごいと思ったのは、見えない状態でやっていることよりも、「自分の柔道や技を知る過程」でした。

 番組の収録でも、鈴木さんが永井選手に小外刈りを伝授する場面がありました。そのあと、カメラが回っていない時も、永井選手が鈴木さんに食い下がって「もう一回、お願いします!」と、鈴木さんに何度も小外刈りをかけてもらっていました。

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