
「東日本大震災の際に検察官が最初に逃げた」などとした森法務大臣の答弁について法務・検察の幹部からは疑問の声が出ています。
森法務大臣は今月9日、東京高等検察庁の検事長の定年延長をめぐって「東日本大震災の際に、福島県いわき市から市民が避難していない中で検察官が最初に逃げた。身柄拘束をしている十数人を理由なく釈放した」と答弁しましたが、その後「答弁は個人の見解で不適当だった」などとして撤回しました。
1.検察官は最初に逃げた?

平成23年11月に仙台高等検察庁がまとめた報告書によりますと、福島地検いわき支部は震災後の3月16日から23日までの8日間、庁舎を一時閉鎖し、執務場所を福島地検郡山支部の庁舎に変更しました。原発事故の後、政府は避難指示の対象区域を順次拡大していて、庁舎を一時閉鎖した前日の3月15日にはいわき市の一部など原発から30キロ以内の住民に屋内退避を呼びかけていました。
その時点で、いわき市内でもすでに一部の住民が自主的に避難していたとされています。

また報告書では当時の状況について「極度の混乱状態であって事件関係者の取り調べや被告などの公判への出頭確保が困難になっていた」としていて、執務場所の変更も3月15日に福島地方裁判所から「福島地裁いわき支部を一時的に閉鎖し、執務場所を変更する」という連絡を受け、裁判所と協議した結果、行ったものだとしています。
2.理由なく釈放した?

法務省の説明によりますと福島地検いわき支部は震災発生から3月15日までの間に、勾留中だった起訴前の容疑者12人を釈放しました。
法務省は釈放の理由について「容疑者の身体の安全の確保が求められる一方、勾留期間内に関係者を呼び出し、取り調べを行うなど所要の捜査を遂行することが困難となっていた」としたうえで「検察官が個々の事案の内容や捜査の進捗状況、身柄拘束の継続の必要性の有無を慎重に判断した」と説明しています。
3.法務・検察幹部から疑問の声
また別の幹部も「検察官を束ねる法務大臣が事実確認もしないでなぜ、あんな発言をしたのかが疑問で将来に禍根を残すと思う」と話していました。
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March 16, 2020 at 05:11PM
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